カレーやポテトサラダ等の材料として用いられ、日本人にはなじみの深いじゃがいも、そんなじゃがいもですが多種多様な種類がありそれぞれに特徴があるのです。現在作られていないものなど含めるとその品種は日本だけで200品種を超えます。よりよい品種が出ては新しい品種が栽培されている、そんな日々進化し続けているじゃがいもについてお伝えしたいと思います。
じゃがいもの基本情報
科属
ナス科ナス属の多年草。北海道が一大主産地に挙げられるほか九州などでも栽培されている。一般的な春作の芋は秋が旬とされる他、秋作で春に収穫される新じゃがは春から初夏にかけてが旬となる。デンプンを多く含む塊茎を食用とする。原産地は南アメリカのペルー南部とみられている。当時はインカ帝国の食の基盤として用いられ、その後スペインに渡り各国に広まった。広まった地域でも主食とされるなど瞬く間に麦、米、トウモロコシと並び「世界四大穀物」として確立することとなります。わが国でも様々な研究や栽培などを経て男爵もやメークインなどの品種が定着することとなり、肉じゃがやカレーなどの馴染みのある料理から、ポテトチップスなどの菓子の原料として我々の生活の中に普及しています。
じゃがいもの旬
春から初夏と秋の2回
じゃがいもの産地
北海道、九州
じゃがいもの栄養価
じゃがいもの塊茎にはデンプン、たんぱく質、ビタミンA以外のビタミンやカリウムも豊富。澱粉が多い割にはカロリーは少なめである。80%は水分で残りは淡水科物である。芋類の中ではビタミンCが多いです。加工製品にしたり油製品などで味が付けられる事が多いためあまり知られていませんが、そのまま食せば他野菜と同様、健康的に良い食品とされているのです。
主要栄養素
100g当たりの栄養素
生食した場合(蒸して食べた場合)
エネルギー 76kcal(81kcal)
カルシウム 4㎎(5mg)
リン 47㎎(38㎎)
マグネシウム 19㎎(24㎎)
カリウム 410㎎(420㎎)
ビタミンC 28㎎(11㎎)
生食すればビタミンCは豊富にとれ、蒸して食せばミネラル分を少し多めに摂取出来ますね
料理から見るじゃがいもの選び方
じゃがいもは様々な料理に仕える万能野菜ですがその用途は広く、肉じゃが、カレー、シチュー、おでん、味噌汁などの具、ポテトサラダ、グラタン、フライドポテト、マッシュポテト、ヴィシソワーズ、コロッケ、トルティージャ、パスタ(ニョッキ)など幅広い料理に利用されているじゃがいもですがその品種によって食感や味などが異なるため、料理によって芋の選び方が変わってきます。
じゃがいもの種類は大まかに3つに分けられる。
じゃがいもは食感が粉質、粘質、中間と大まかに分けられます。それぞれに特徴があるため料理にあったじゃがいもの選び方を考えるといいでしょう。この3つの他加工用に栽培されているじゃがいももあります。
粉質のじゃがいもとは?
でんぷん質が多く食味が粉っぽくゆでたり揚げたりするとほくほくした食感が得られるのが主な粉質系のじゃがいもの特徴です。
主な品種として男爵いもやキタアカリなどが挙げられます。基本的に煮崩れしやすい品種が多くあまり煮込み料理などには向いていないといえます。逆にこふき芋やコロッケなどあえて潰して調理するものに向いているものが多いです。ただ中にはホッカイコガネのように粉質であるにも関わらず煮崩れしにくい品種もあります。
粘質のじゃがいもとは?
粘質のじゃがいもは粉質とは逆にしっとりとした舌触りが特徴です。茹でたものを練ったりするとくっつくような感じになるタイプの種です。
主な品種としてメークインなどがあります。煮崩れしにくいので煮物やカレーなど煮込む料理に向いている品種が多いです。

中間質のじゃがいもとは?
中間質のじゃがいもは粉質と粘質の中間を指し、強いほくほく感などはなく、かといってねっとりとして食感も強く感じないです。こうしたタイプの種は煮物などにもあい、つぶして使ってもそれなりに美味しくいただける場合が多いです。ある意味使い勝手のいい品種と言えるでしょう。
主な品種としてグランドペチカやノーザンルビーなどが当てはまります。
保存食としてのじゃがいも
じゃがいもは凍結乾燥方が用いられてきた。先コロンブス時代、中央アンデス地域において、冷凍したじゃがいもを踏みつけることを繰り返すことで毒を抜く方法が発明され、長期にわたる保存、備蓄が可能になった。この凍結乾燥したじゃがいものことを「チューニョ」と呼ぶ。現在でもボリビアやペルーの高地では利用されている。また若干作り方が異なるものに「トゥンタ」と呼ばれるものがある、これもペルー南部やボリビアなどで広く食べられている。
日本の山梨県の鳴沢村や長野県の一部地域では同じように作られる「しみいも」、「ちぢみいも」があります。
じゃがいもはお酒にも利用されています。
じゃがいもが原料となるお酒はウォッカ、ジン、焼酎、ソジュなどで主に蒸留酒の原料に用いらています。この他じゃがいもを主原料としたじゃがいも焼酎やアクアビットと呼ばれる蒸留酒もあります。
じゃがいもの食べ方の注意点
じゃがいもの芽には毒素もありますので食べ方の注意点も記載しておきます。
じゃがいもは水に漬けすぎないこと
じゃがいもは、30分以上水に濡らすと、ペクチンと水に含まれる無機質が反応し細胞膜が強くなり火が通りにくくなりるので洗う際など水に漬けすぎないように注意しましょう。
じゃがいもは毒性がある部分が多数ある。
じゃがいもの毒性として、芽や皮にはポテトグリコアルカロイドと総称されるソラニン等の有毒なアルカロイド配糖体があり、緑色に変色した皮や芽は取り除く必要があります。その他食用にはなりませんが花などにも毒があります。
又、長期保存された芋では皮を熱く剥いて調理したほうがよいです。じゃがいもの毒性は強くないものの大量に食べて亡くなったケースもある為注意が必要であります。
じゃがいもは焦がしてはダメ
ポテトチップスなどに加工する際に焦がした時、中には発がん性物質の化合物になるニトロソアミンに変化することがあるので注意が必要です。このため焦げにくいポテトチップス用品種も存在しています。
薬用としてのじゃがいも
民間療法では湿疹ややけどなどの外傷にすったじゃがいもに小麦粉と酢を混ぜて患部に冷湿布します。また通風では食すとともに同じように患部にはることで軽減効果があるといわれています。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍ではすったじゃがいもの水分を飛ばして黒くなったものを1日1回2グラムほど服用するといいとされます。
じゃがいもの栽培について
じゃがいもは誰でも比較的育てやすい野菜で、春に種芋を植え付けて夏に収穫する春作と、夏に植え付けて秋に収穫する秋作があり、3月から7月までの春作の方が栽培しやすいです。栽培摘採温度は15~22度。植え付けを行う種芋は専用に育成されたものが使われる。種芋の数を意図的に増やすために、一般的には種芋は、芋に適度な温度と光を当てて発芽させ、目を中心にして適度な大きさに切り分けます。芋の腐敗を防ぐために切断面に灰などを塗布し、切断面を下にして置き、土をかぶせます。植え付け後、一つの種芋から多くの芽が出るため、生長の勢いがある太い芽を2本ほど残して抜き取る(芽かき)というのが一般的です。
地下茎は種芋より上に出来るためジャガイモを収穫するにはこの肥大する地下茎が日光に晒させないように株本の土を盛り上げる土寄せが行われます。花が咲き始めるころから肥料の吸収が盛んになり、追肥が行われる。新しい芋が大きくなったら収穫期で、株ごと引き抜きます。
大面積の耕作地ではハーベスターと呼ばれる収穫機械が使われ、上部の選別台で大きさごとに選別される。収穫語は、芋の水分蒸発防止や病原菌侵入防止のための表面処理が行われた後、低温貯蔵庫で一時保管してから出荷されるという流れになっています。
葉が緑の内に収穫した芋は長期保存が利かないため早めに食べる必要がありますが、地上部の茎葉が黄色く涸れるまで土中に置いた芋は、長期保存が可能な芋になります。
栽培にはpH6前後の酸性の土地が適しています。冷涼な気候や硬くやせた土地にも強い反面連作障害が発生しやすいの作物なのです。また、じゃがいもは病原菌が繁殖しやすく、保存状態の悪い種芋や収穫から漏れて地中に残された芋は病害の原因になる為、日本では植物防疫法の指定種苗となっているのです。
じゃがいもは連作に向いていない。
連作とは同一の畑で同一の作物を何度も繰り返し栽培すること事を指すのですが、じゃがいもは連作を行うと土壌のバランスが崩れ、単純に生育が悪くなるだけでなく、病害や寄生虫が発生しやすくなるのです。ジャガイモに限らず、ナス科の植物は基本的にこの性質を持ち、例えばジャガイモの後に茄子を植えた場合でも連作障害がおきる場合があります。そのためジャガイモを栽培するときはナス科の野菜を3~4年作ってない畑で、堆肥と元肥を入れて耕してから作付けするといいでしょう。
じゃがいもの生態
直立する地下茎は50cm~1m程度の高さにまで成長します。葉の付け根から花茎が伸び銭単位多数の花をつけ、花は星型で黄色い花心と5枚の花弁を持ち、色は品種により異なり、赤、白、紫と様々。受粉能力は低いですが、品種や条件によっては受粉してミニトマトのような小型の果実をつけます。果実は熟するに従い緑、黄色、赤へと変化しますが、落果しやすく完熟するのは稀です。ちなみにこの実にはアルカロイドという毒性があるため食べれません。
じゃがいもは茄子の仲間です。
じゃがいもは実は茄子と同じ種類の野菜でナス科ナス属の多年草です。ちなみにナス科の野菜にはピーマンやトマト、それと食べ物ではないですがタバコもナス科に含まれます。
茄子とじゃがいも全く味も見た目も違うのにと感じると思いますが、それもそのはずです。我々が食べている茄子は茄子という植物の実ですが、じゃがいもは地下にある茎が肥大したもので塊茎といい、日中の光合成された養分が夜になって茎に蓄えられてできたものなのです。
じゃがいもという名前の由来
これには諸説ありますが日本でのじゃがいもの歴史はジャワ島のジャガトラ(ジャカルタの旧名)から伝来したことが始まりでしてた。ジャガトラから芋はジャガタライモと言われ、それが転じたという説やジャワ島のジャガトラから由来したためジャワの方をとってジャワイモが転じたという説などがあります。ただ一般的にはジャガトライモが転じたという説が信憑性があるようです。
じゃがいもにはいろいろな地方名が存在する。
またじゃがいもにはこんな呼び方も存在します。
- 二度芋、三度芋・・2または3回収穫できる事から
- お助け芋・・・飢饉から救ってくれたから
- 善太夫芋・・・1748年に信州より種芋を移入した飛騨の代官幸田善太夫に因む。
- 甲州芋・・埼玉県や愛知県などの地域ではこう呼ぶこともある。清太夫が甲州から伝来させ飢饉から救ったとされているためである。
- イモ、エモ・・アイヌ語で日本語の芋が由来。
じゃがいもの歴史が物語るような呼び名が多いですね。ではこの後はそんな歴史も振りかえってみましょう。
まとめ
じゃがいもは日本に伝来してきてから絶え間なく進化しそれにより味、質、じゃがいもの病気への耐性など日々向上していっています。これには人々の努力があり、そうした努力により私たちは安全でおいしいじゃがいもが食べられています。かつて日本の危機を救ってくれたじゃがいも、我々はこれからも身近な存在としてじゃがいもという野菜を育んでいくのではないでしょうか。
じゃがいも選びのお役に立てたでしょうか?じゃがいもの歴史なども非常に興味深いものになっています。まとめてみたので見ていって下さい。