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加工用じゃがいも10選!歴史と特徴の紹介

加工用 じゃがいも

じゃがいもの中には元々ポテトチップスやデンプンなどの加工品原料になるようにと開発された品種がたくさんあります。また元々加工品用だけではなく食用として栽培された品種でも現在ではほとんどが加工用として扱われている品種を合わせてご紹介していきます。

ワセシロ

原産地

北海道

主産地

北海道

名称由来

漢字では早生白と書き、早生品種の白色のじゃがいもで「ワセシロ」と名付けられました。

生態

形体は扁球で肉色は白色をしており、皮色は淡白黄で芽がやや深めである。

特徴として肥大が非常に早く、それは現存するジャガイモの中でトップであり、Lサイズ以上が多く収穫できる。

ワセシロの歴史

1962年(昭和37年)生食北海道立根釧農業試験場でデンプン原料と食用を兼ねた早生、多収品種の育成を目標に育成され、「根系7号」を母、早生で箒肥大性に優れ、ごく大粒で目が浅く低デンプン価の「北海39号」を父として交配し、翌年より実生個体選抜に供試して選抜を重ねたもの。1974年に(昭和49年)に農林認定(ばれいしょの農林20号)と北海道早生食用品種の優良品種として登録されている。

育成者が出した品種名の候補は「男爵」よりも爵位が2階級高い「伯爵」であったが、農林省で行われた品種名の審査の際に「今更爵位をくれる必要もあるまい、それに男爵と伯爵とどちらが偉いか、今の人にはピンとこないだろう」という見解から「ワセシロ」に落ち着いた。1974年に品種登録。青果用としては「伯爵」、「ネオ男爵」「キング伯爵」名で特に新じゃがとして出回っている。

ワセシロの特徴、利用法

脂との相性が良く新じゃがポテトチップスの原料にされることが多い品種で、茹でただけだとすごくあっさりとした味になる。

トヨシロ

原産地

北海道

主産地

北海道

名称由来

収穫量が豊富で肉色が白であることから命名。

生態

デンプン含有量は16.3%でやや粉質、脂加工で変色しにくく、ポテトチップスの材料として生産されている。花色は白、芋は扁平形、皮は淡黄白色をしている。肉色は白。300gくらいに大きく成長すると空洞が開いていることが多くなる。

トヨシロの歴史

1960年(昭和35年)に北海道農業試験場において選抜された品種、日本初の加工用品種。北海19号とエニワの交配種で1976年(昭和51年)に「ばれいしょ農林21号」として品種登録。

梅村芳樹氏がカルビーに売り込むことがきっかけで定着したことで知られる品種。北海道農業試験場に勤務していた梅村はリュックを肩にカルビーの社長室を訪ね、トヨシロがいかにポテトチップスなどの加工食品に向くかを熱弁。トヨシロがチップス用として国内シェアを確保できたのは梅村の売り込みとそれに答えた社長の英断あってのことだろう。カルビーの「じゃがりこ」や「jagabee」などのスナック菓子原料として使われている。

トヨシロの特徴、利用法

揚げると色合いがよく、近年ではポテトチップス以外にもスナック菓子の加工も多い。加工用として作られた品種だが、料理にも使え、煮崩れはしにくいが、あまり長く煮ないカレーなどに向いているやや粉質よりのじゃがいもである。

ラセット・バーバンク

原産地

アメリカ

主産地

日本では商用には栽培されていない。

名称由来

育成者であるルーサーバーバンクの名と褐色系(ラセット)皮であることから命名。

生態

大きくなるためフライドポテトに向き日本にも加工品が多く輸出されている。花、肉色は白く、塊茎は長円筒ないし、長卵型でやや扁平。皮色は褐色系です。

ラセット・バーバンクの歴史

1875年にアメリカの種苗家であり「植物の魔術師」とも称されたルーサー・バーバンクが開発した「バーバンク」の突然変異により1910年ごろに誕生。アメリカでの作付けは長年1位が続いていた代表的品種。日本では環境の違いから大粒にならず、収量が得られないため栽培されていない。

ラセット・バーバンクの特徴、利用法

アメリカではフレンチフライの主な原料とされおり、日本でもマクドナルドのポテトや輸入された冷凍フレンチフライの原料として使われている為食べることができるが、生の状態では一般的に購入できない。

ひかる

原産地

北海道

主産地

北海道

生態

サイズは中型扁球形で皮の色は黄褐色、肉色は淡黄です。芽の深さは浅い。

ひかるの歴史

サラダやコロッケなどの加工に適した品種としてホクレンが開発した品種です。2003年(平成15年)に登録出願、2007年(平成19年)に登録されています。ちなみに出願時の名称は「はるみ」であった。平成5年にホクレン農業用同組合連合会農業総合研究所長沼研究農業において、出願者所有の育成系統に「Maris Bird」を交配し、平成6年にその実生の中から選抜、以後、同恵庭研究農業において、増殖を行いながら特性の調査を継続し、15年にその特性が安定していることを確認して育成完了したものである。2003年に北海道の奨励品種に指定。基本的にはポテトサラダ原料品主として有名である。

ひかるの特徴、利用法

加工用として誕生したためポテトサラダやコロッケなどに適している。粉質で食感や煮崩れの程度は男爵芋に似ている。

アーリースターチ

原産地

北海道

主産地

北海道

名称由来

早期収穫に適した原料用品種を示したもの。

生態

ジャガイモシストセンチュウに抵抗性をもち大粒でつぶぞろい。デンプン収量はコナフブキ、紅丸に劣る。皮色、肉色は白色をしている。

アーリースターチの歴史

1979年(昭和54年)に北海道試験場にて大粒で高デンプン価の「島系523号」を母、「392-50」を父として交配し翌年より選抜を加えて育成されたデンプン原料用品種。1996年(平成8年)に「ばれいしょ農林37号」として登録され、「アーリースターチ」として命名された。

アーリースターチの特徴、利用法

主にデンプン加工に用いられる。食用として入手するのは困難と思われる。

オホーツクチップ

原産地

北海道

主産地

北海道

名称由来

主にオホーツク地方で作られ良質のポテトチップス原料であることから

生態

早生でジャガイモシストセンチュウ抵抗性がある。球形で肉色は白、肉質はやや粉質である。ポテトチップの加工用原料適正に優れていて白い良質のチップスを作ることが可能。

オホーツクチップの歴史

北海道立北見農業試験場馬鈴薯科で育成されたジャガイモシストセンチュウ抵抗性のポテトチップ用品種で1991年(平成3年)に「アトランチック」を母、「ND860-2」を父として交配し2004年(平成16年)に北海道優良品種となり、2005年(平成17年)に「ばれいしょ農林52号」として登録され「オホーツクチップ」として命名、2007年3月に品種登録された。

オホーツクチップの特徴、利用法

加工用品種の為、主にポテトチップスの原料となる。カルビーや湖池屋などでも使用されています。

サッシー

原産地

フランス

主産地

北海道

生態

皮色は黄色で厚く、肉色は黄色。芽は男爵芋並みに深い。ジャガイモシストデンチュウや疫病に強い性質をもつ品種である。

サッシーの歴史

Germicopa社というフランスの会社が開発したじゃがいもで株式会社ジャパンポテトが日本に導入し2009年(平成21年)に登録された品種です。

サッシーの特徴、利用法

ポテトチップス用に開発された品種なので油との相性は抜群によく主に加工用として扱われている。やや粉質であるが、煮崩れもしにくくかつほくほく感もある。湖池屋がポテトチップスで使用しており、商品名にサッシーの名前を用いたものもある。

スノーデン

原産地

アメリカ

主産地

北海道

生態

球形で皮色は茶色で芽は浅め、肉色は白色。加熱による変色が少ない。

スノーデンの歴史

1973年に米国ウィスコンシン大学において、良チップカラー・高乾物系統の「B5141-6」を母、「Wischip」を父として交配し、選抜され1990年(平成2年)に「Snodwden」の名で公開されたポテトチップ加工適正の高い品種である。1991年(平成3年)にカルビーポテト株式会社が種芋を輸入し、増殖を開始。2000年(平成12年)に他異動の奨励品種に決定。

スノーデンの特徴、利用法

甘味はあまりなくあっさりとした淡泊な味わい。食感はほくほくしている。ポテトチップス加工用品種であることから油との相性は良い。カルビーの他「湖池屋」でも使用されている。

紅丸

原産地

北海道

主産地

北海道

名称由来

当時栽培されていた「長白」、「蝦夷錦」は形が長く皮色が白いのに対し、本品種は丸々として赤色であったことから「紅丸」と名付けられた。

生態

デンプン含有量は14.8%。花色は白、卵型で皮は淡紅色、肉色は白であるが淡赤色の斑入りもある。冬を越すと甘くなる。

紅丸の歴史

主に澱粉採取用品種。1929年(昭和4年)に北海道農試本場において「レムブケ・フルーエ・ローゼン」を母とし、「ペポー」を父として交配したものから選抜された品種である。1930年(昭和5年)には皮が赤いことで捨てられかけるも、デンプン原料として選抜系統に拾い上げられた。1933年(昭和8年)より「本育309号」として試験を行ったが、留寿都村以外では成績が芳しくなかった。一方留寿都村では「309」の名で広まり1936年(昭和11年)には在来品種を駆逐して村全体は「309」一色になったといわれている。1937年(昭和12年)に優良品種として提案するも否決、翌1938年(昭和13年)に再提案し、デンプン用としてしぶしぶ優良品種に決定した。その後同年に満場一致で優良品種にされた「明星」や「北海白」が数年で姿を消す中、紅丸は第二次世界大戦下の肥料や労力が少ない最悪の条件下でも栽培できる品種として昭和16年には1万4千ha、昭和19年には3万6千ha、昭和24年には5万8千haと急激に増加し、デンプン原料品種のほとんどは紅丸に置き換わり、食用としても販売された。その後1981年(昭和56年)に育成された「コナフブキ」の普及により急速に減少し、現在では直売用にわずか数ヘクタールの栽培に留まっている。

紅丸の特徴、利用法

現在ではなかなか手にすることのできない品種。ねっとりとしつつもほくほくした食感が味わえ、粉質のわりに煮崩れしにくいのでカレーなどの煮物にも合います。でんぷん質を生かした芋餅なども美味である。

さやか

原産地

北海道

主産地

北海道

生態

皮が白くなめらか、芽が浅く少なく、肉色は白である。大粒で収量が多くかつつぶぞろい、皮が非常に向きやすいため加工用に適した品種である。主に北海道で栽培されている。

さやかの歴史

1983年(昭和58年)に北海道農業試験場において。「Pentland Dell」に「R392-50」を交配し開発が始められ12年物歳月を経て1995年(平成7年)に「ばれいしょ農林36年号」として農林認定されるとともに独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構によって登録出願、1998年(平成10年)に品種登録されました。

さやかの特徴、利用法

現在は業務加工用品種として定着、主にポテトサラダに利用される。デンプン含有が低くほくほく感はないが、その分煮崩れしない為シチューなどにも向いている。その他せん切りにしてサラダや酢の物などにもあう。ただ加工用として出回っているが、一般市場で購入するのは少々困難である。