本日は魚の定番の一つでもあるサーモンについてのお話したいと思います。近年特に人気が高まっていますね。回転すしのネタ人気は物凄い高いとの事。そのサーモンは鮭ですか?鱒ですか?
世の中には『トラウトサーモン』『キングサーモン』『銀鮭』『紅鮭』『ニジマス』『マスノスケ』『ビワマス』などなどあります。
サーモンと鮭違いは、サーモンは生食用に養殖されたもので鮭は天然物で加熱し食べるものとの認識で良いと思います。
では鮭と鱒の違いは何でしょう・・・
板前を20年以上やっている私でも頭がパニックになります。このパニックの原因にトラウトサーモンがあります。近年でサーモンと言えばこのトラウトサーモンを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
サーモンと鮭の違いを教えてGoogle先生
まずGoogle翻訳を使って調べてみましょう。
鮭(しゃけ)を翻訳してもらうと‥‥salmon(サーモン)
鱒(ます)を翻訳してもらうと‥‥trout(トラウト)
トラウトサーモンと翻訳してもらうと‥‥Trout salmon
はい。パニックの原因です。トラウトサーモンは鱒であり鮭になってしまいました。
まず日本における鮭の定義について抑えておきましょう。
鮭とは
サケとはサケ科サケ属に属する魚、又は○○サケ属に属する魚のうち日本の名称でサケと呼ばれるものを指します。ちなみにシロザケやベニザケ、ギンザケなどがこれに当たります。
特徴として鮭は川で生まれて生育すると海へと降海し、1年から数年海洋生活を送り、産卵の為、生まれた川に遡上し産卵をしてその生涯を終えるのです。これが有名な「鮭の川上り」です。
鱒とは
マスとはサケ目サケ科に属し日本語名に「マス」がつく魚。またサケ類の魚以外のサケ科の魚をまとめた総称。
・・・・なるほど〇〇マスはマスという事ですね。
サーモン鮭違い。サーモンとは鮭なのか?
サーモンと鮭の違いを考えた時に一概にサーモンといってもいろいろあります。
〇〇サーモンという名前はいろいろ見た事があると思います。
有名なキングサーモンは英語圏ではサケに分類されます。
ややこしくなりますが、
日本におけるキングサーモンは鱒になります。
キングサーモンは和名で「マスノスケ」といい、
鱒に分類されるのです。ちなみにピンクサーモンの和名はカラフトマスです。
サーモンというのは日本では鱒なのかあ!!
というとこれまた一概にも言えず、サーモンという名称で呼ばれるものにも
鮭はいるからです。
銀鮭(ギンザケ)はシルバーサーモンとも呼ばれます。
太平洋鮭(タイヘイヨウサケ)はアトランティックサーモンとも呼ばれます。
むしろこっちの方が聞きなれてるかもしれませんね。
ですからサーモン=鱒でもないのです。
サケとマスの境界が厳密でなく日本はおろか、
他の国によっても区分が異なるのです。(英語圏ではキングサーモンが鮭に分類されるように)
ちなみに英語ではサケがSalmonなのに対してマスがTroutとしています。
単にTroutというと淡水産を意味し、海産の物はsalmon troutと呼ばれているため
英語ではサーモン=サケが当てはまるのかもしれません。
日本では鱒と呼ばれる魚はタイヘイヨウサケ属、タイセイヨウサケ属、
イワナ属、コクチマス属、イトウ属などの魚を包括します。
他にも日本では鮭は降海型、鱒は陸封型(海に出ない淡水産)
だと勘違いしている人も多いのですが鱒の中にも降海し、
鮭の様に遡上する個体もあるのです。ですからこちらの考え方でも分類できないのです。
こうしてみるとますますわけわからなくなってしまうかと思います。
なぜなら同じタイヘイヨウサケ属でも鮭とよばれるものもあり、
逆に鱒と呼ばれるものもあります。こうまであいまいな部分があるのは
魚の中では珍しいのではないでしょうか?
とにかくいえることは和名に鮭がついているか、
鱒とついているかで鮭か鱒か分けられます。
ただ注意してほしいのは、これはあくまでも正式的な和名に「鮭」や「鱒」が入っているものを分類上で分けるもので、商品名は全く別なのです。といいますのもサケ科サケ属に分類されるシロザケが「鱒」として売られていることはないと思いますが、鱒がサケとして商品名になっていることは多々あります。例として挙げるとお茶漬けや振りかけのサケ味です。皆様は今までにこれらの商品で鱒味というのは見たことないのではないのでしょうか?またもしくはサーモン味というのも無かったと思います。ただ鱒が使われていてもサケ味なのです。
それ?食品偽造にならないのか!?
食品偽造に当たらないそうです。
コンビニなどの「サケ弁当」や「サケ茶漬け」などすでに定着しているものに関しては
消費者庁も認めているものなのでOKなのです。
こうなるとなにが正しくて何が正しくないかもわからなくなってきます。
和風商品の振りかけとかの鱒は鮭味で、鱒を使ったおにぎりは鮭ですが、
おにぎりにマヨネーズとかが入るとサーモンマヨなどに変わり、
和食の王道である寿司屋では鱒は横文字のサーモンとなるのです。
鮭も鱒もサーモンの名称で呼ばれることがあり、
商品名では鱒がサケと呼ばれていても大丈夫なのです。
トラウトサーモンは「鮭」なのか「鱒」なのか?
「鱒」です!!
トラウトサーモンというのはニジマスを指しますが、
スーパーに並んでいる売っているトラウトサーモンや我々が使用している
冷凍のノルウェーサーモンなどは主にニジマスを食用に海面養殖したものです。
ニジマスには一生を淡水(池や河川)で過ごす陸封型と海に下り産卵の為に川に戻る
降海型の2種類がいます。
陸封型のニジマスは海外でレインボートラウトと呼ばれており、
養殖漁業も行われ販売されています。
一方で降海型のニジマスはスチールヘッドと呼ばれ陸封型のニジマスと種は変わらないものの、陸封型のレインボートラウトよりも大きく成長します。ですから養殖にはスチールヘッドが多く利用されてきました。現在世界各地で海面養殖されたものはこのスチールヘッドをさらに品種改良したもので、元来のスチールヘッドよりもさらに大きく成長し食用としてさらにおいしくなるよう育てられたものになっております。
日本のスーパーで販売されている焼き物用のノルウェーサーモンとなっている切り身や、刺身用で販売されているトラウトサーモンの他、回転ずしで回っているサーモンやトロサーモンなど基本的にはこの海面養殖されたスチールヘッド(ニジマス)が使われていることが多いようです。
どうしてこのような経緯になったかといいますとそれにはいろいろと訳があります。
ニジマス(トラウトサーモン)が人気の理由
・天然のサケやマスには寄生虫が存在する。
近年有名になっている寄生虫のアニサキスが天然の鮭や鱒には存在する可能性が高く生食するには不安な点があるのです。ただ規定された時間や温度で冷凍や加熱することにより死滅しますので釣った魚をすぐさま生食しなければ特に危険ではないのです。
・養殖の技術の発展により、コストが下げられ、味もおいしい。
現在トラウトサーモンと呼ばれる魚は主にノルウェーやチリなどから輸入しています。チリ産サーモン、ノルウェー産サーモンというのもよく目にすると思います。特にノルウェーでは国を挙げて養殖事業に取り組んだため多大なる発展を遂げました。そのため日本で養殖をしたものを仕入れるよりもノルウェーから海を渡り輸入したものの方が安く、味も問題なくおいしいものが届くわけなのです。
・養殖ニジマスの安定供給
本来の魚は旬があり主に雌だと産卵前に栄養を取るため、産卵前は脂が乗りおいしく、産卵後はおいしくなくなったりします。しかし養殖のニジマスは性成熟しないよう改良されているため、こうした産卵期はなく常に脂がのった状態にして育てられているため、通年おいしくいただけます。
上記などにより日本では養殖された、サーモンと呼ばれる鱒たちが日常的に出回っているのです。
※タイヘイヨウサケ属=サケ属。タイセイヨウサケ属=サルモ属となります
鮭と鱒の主な一覧
和名 | 一般的な名称 |
---|---|
シロサケ(サケ属) | シロサケ、アキジャケ、アキアジなど |
ベニザケ(サケ属) | ベニザケ、ソッカイサーモン |
ギンザケ(サケ属) | ギンザケ、シルバーサーモン |
タイセイヨウサケ(サルモ属) | アトランティックサーモン |
マスノスケ(サケ属) | キングサーモン |
サクラマス(サケ属) | サクラマス |
ニジマス(サケ属) | スチールヘッド、レインボートラウト、トラウトサーモン |