野菜

バランスがいい中間質じゃがいも9選

中間質じゃがいも

じゃがいもの種類は数多く存在し、それぞれの特性があったり、また料理などによっては向き不向きがあります。この記事では、様々な料理に合わせやすい万能的なじゃがいもを御紹介いたします。

煮崩れしにくく、ほくほく感もあるじゃがいも

インカのめざめ

インカのめざめ

原産地

北海道

主要産地

北海道

名称由来

起源地の南米アンデス地域(古代インカ)と新しさを例えて付けられた名前である。

生態

デンプン含有量18%。比較的小粒系で収穫量は少なく、病害虫に弱いことから栽培が難しい事で知られ、生産者泣かせの芋とも言われている。生産量が少ないためジャガイモの中では希少で「幻の芋」とも呼ばれている高価な芋である。北海道十勝地方の幕別町などが主産地である。

インカのめざめの歴史

農業職員産業技術総合研究機構北海道農業試験場において、1987年(昭和63年)に南米アンデス地域の在来種(ソレナムフレハ種)とアメリカ品種「Katahdin」との交配から生まれた「W822229-5」と国際ポテトセンターから導入された黄肉種の「P10173-5」を交配させ生まれた実生から選抜育成されたジャガイモで1997年(平成9)年に品種登録の出願され2001年(平成13年)2月に登録されました。

インカのめざめの特徴、利用法

粉質のいい所と粘質のいい所を併せ持ったようなじゃがいもで煮崩れしにくく煮物、カレー、シチューなどにもあう。揚げても色が変わらずフライ等にも適しているうえほくほく感もあるのでコロッケなどにも合うというまさに万能的なじゃがいもである。一般的なじゃがいもが糖度4~5度なのに対しインカのめざめは糖度が6~8度位あるといわれ、甘さの元となるショ糖の含有量が一般的な男爵芋の実に5倍近くになる。甘味が強く製菓材料にも使われる。ねっとりとした口当たりとナッツのような独特の風味、さつま芋のような食感が特徴的である。またカルビーポテトが北海道限定商品として生産している同品種を使ったオリジナル商品「黄金ポテト インカのめざめ」という商品がある。旬は2~3月でこの時期は越冬インカのめざめとも呼ばれ食味がとても良いとされる。

インカのめざめ
幻のじゃがいもい『インカのめざめ』とは!?インカのめざめ美味しいレシピ幻のじゃがいもの『いんかのめざめ』とは?今回はいんかのめざめがどの様なじゃがいもで、どの様な料理に適しているのかを解説。簡単で美味しいレシピも記載してあります。...

デジマ

原産地

北海道

主要産地

長崎県

名称由来

長崎県の出島に因んで名づけられた。

生態

長崎県を中心に四国や九州地方で栽培が多い。花色は白で芋は扁平型、皮は淡黄色、肉色は黄白色。デンプン含有量は春作が11%、秋作は約13%で秋作のほうが粉質傾向がある。各種の病害に対してもかなりの抵抗性を持っている。

デジマの歴史

長崎県総合農林試験場で1962年(昭和37年)に北海31号にウンゼンを交配、育成された暖地向け二期作用品種で1971年(昭和46年)に「農林19号」として品種登録。「タチバナ」という暖地の主力品種にとって代わり主力となったものの、多収である「ニシユタカ」の栽培が広がるにつれ作付が減少した。ちなみにニシユタカはデジマの子品種です。育成地の長崎県愛野市では「愛の小町」という銘柄で販売されている。

デジマの特徴、利用法

肉質はやや粉質ですが春作では中間からやや粘質になるため中間といえるでしょう、煮物から揚げ物までの広範囲に利用され、適度な煮崩れがある。新じゃがとして用いられ皮が柔らかく、薄いので皮ごとフライなどにしてもおいしくいただけます。食味は暖地栽培の中では特に優れている品種である。明るい所では皮が緑化しやすい為注意が必要である。。

インカのひとみ

原産地

北海道

主産地

北海道

名称由来

インカのめざめに収量性の向上が見られた品種であることから。

生態

中早生の品種で果肉は黄色く肉質はやや粘質で加熱調理すると色濃く澄んだ黄色になる。皮色がまだら模様である。

インカのひとみの歴史

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構において「インカのめざめ」の自然交雑実生から選抜された品種で、2006年(平成18年)に出願され2009年に品種登録されたばかりの品種です。

インカのひとみの特徴、利用法

味はインカのめざめとよく似ていて栗のような甘味があり舌触りもいいです。また煮崩れしにくくシチューやカレーに向いています。揚げ物にも変色しにくくきれいに仕上がります。希少性が高くあまり流通していないのもインカのめざめと同じです。

ゆきつぶら

原産地

北海道

主産地

北海道

名称由来

由来は肉色が雪のように白く形がつぶらであること。

生態

早生種。形はやや長、扁平、扁球であり皮色は白、芽の深さはやや浅い。肉色は白く、ジャガイモシストセンチュウに対する抵抗がある。

ゆきつぶらの歴史

1991年(平成3年)に北海道立根釧農業試験場において、スコットランド作物研究所によって育成されたジャガイモシストセンチュウに強い「Pentland Dell」早生種の「とうや」を交配し、生まれた実生から選抜育成された馬鈴薯で、2005年(平成17年)にばれいしょ農林54号として農林認定され「ゆきつぶら」の名で命名登録、2008年(平成20年)の種苗法にもとづく品種登録。

ゆきつぶらの特徴、利用法

揚げた時に褐変しやすいため、フライやポテトチップスには向かない。甘味があり煮物にも最適で、その他ポテトサラダなどにも向いているという万能性がある。

シンシア

原産地

フランス

主産地

フランス

生態

卵形で目が浅く皮は黄白色で中の肉は淡黄色。デンプン価はやや低くややねっとり系の中間に近いタイプ。休眠が長く貯蔵性に優れている。元はやや粉質だが長く貯蔵すると次第に粘質度が増してくる。

シンシアの歴史

1983年にユリック・ボネールが「ランディア」に「オーシャイアン」を交配し、フランスのジャガイモ育種・販売会社であるジェルミコパ社により育成され、1996年にEUで登録された品種。日本では2003年2月に品種登録された。日本での取り扱いはキリンビールが農事組合法人黄金崎農場と共同設立したジャパンポテト(現在は株式会社ホープと合併してジャパンポテト事業部になる)がジェルミコバ社と提携し独占的に販売しています。

シンシアの特徴利用法

他の品種と比べ卵形の形状をしており切り口は薄い黄色をしている。もっちりしていて煮崩れをしにくい為、シチューや肉じゃがなどにも向いている他コロッケにしても良し。生でスライスしてサラダにも使われる。生クリームやバターなどの乳製品との相性が抜群に良いとされる。

アイユタカ

原産地

長崎県

主産地

長崎県

名称由来

愛野で育成され、愛らしいイメージと多収で豊かな生産力を表しています。

生態

肉色は淡黄色をしており丸くコロンとした形状、表面の皮色は白黄色でつるっとした肌質をしている、芽も浅く皮が向きやすい。ジャガイモシストセンチュウに抵抗性をもちますが病気に少し弱め。春と秋の二期作が可能な品種です。

アイユタカの歴史

長崎県総合農林試験場愛野馬鈴薯支場で1996年(平成8年)春作に、大つぶ、多収、食味のよい「デジマ」を母、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子を二重式に持ち、外観、食味に優れる「長系108号」を父として交配し、1998年(平成10年)から育成、選抜され2003年(平成15年)9月に「ばれいしょ48号」として命名登録され「アイユタカ」命名されました。

市場では「長崎じゃが」の名で流通することもある。

アイユタカの特徴、利用法

火が通りやすく味がしみこみやすいのが特徴です。中間質の為様々な料理に扱いやすいですが、煮物は煮る時間に注意が必要です。ビタミンC含有量が多いのも特徴である。

十勝黄金

原産地

北海道

主産地

北海道

生態

芽は浅く、肉色は淡黄でジャガイモシストセンチュウの抵抗性を持ちます。貯蔵性がとてもいいというのが特徴で一般的なジャガイモに比べ2倍程度の期間保存することができます。貯蔵することによりデンプンが糖化するため甘味が増すという利点があります。

十勝黄金の歴史

1986年(昭和61年)に「R392-3]を母、「69095-17」を父として交配し、その趣旨から選抜された品種です。2000年(平成12年)に「十勝黄金」として種苗登録され、北海道奨励品種としてばれいしょ農林41号として命名登録されました。

十勝黄金の特徴、利用法

肉色の黄色は加熱すると鮮やかになり変色しにくいので揚げ物にむいている他、ほくほくした食感があり、こふき芋などにも向いています。またほくほくしていながら崩れにくくカレーなどにも合います。

シャドークイーン

原産地

北海道

主産地

北海道

名称由来

黒に近い濃い紫色で、影のような色合いと、形がメークインのように細長いことから。

生態

外見は黒っぽい紫で肉色が紫色をしている。果肉には紫肉の既存品種である「キタムラサキ」などと比べてもアントシアニン色素が約3倍含まれています。

シャドークイーンの歴史

北海道農業研究センターにより、紫色品種「キタムラサキ」の開放受粉種子より選抜されたものを育成された品種。2006年11月にばれいしょ農林。57号「シャドークイーン」の名で命名登録されました。

シャドークイーンの特徴、利用法

紫色を生かす菓子や料理に使う。ポテトチップスやポテトサラダにすると色が鮮やかに残ります。またポタージュにしても色鮮やかになります。ほくほく感はあまりなく、茹でた時の煮崩れ具合は男爵芋程度です。

グラウンドペチカ/デストロイヤー

原産地

長崎県

主産地

長崎県

名称由来

ペチカとはロシアの暖炉、オーブンを指す。芋の赤い部分が火を連想させるためペチカの文字をあてたそうです。グラウンドは「大地」という意味である。またデストロイヤーの名は目の周りが赤く染まっていることからマスクをかぶってるようだということで往年の名レスラーの名が付けられたようです。

生態

肉色は黄色、楕円形で皮が赤褐色の斑点模様。

グラウンドペチカの歴史

長崎県雲仙市において数々の品種を生み出している俵正彦氏が自身の農場で「レッドムーン」の突然変異として発見しその後育成したもので、2000年(平成12年)に品種登録されています。出願時の名前は「ですとろいや」だったそうで現在も「デストロイヤー」の名で売り出されていることがあります。

グラウンドペチカの特徴、利用法

ほくほくした食感でサツマイモや栗のような風味があります。やや粉質であるにもかかわらず煮崩れしにくいのも特徴です。

まとめ

中間質のじゃがいもには適度なほくほく感と煮崩れしにくいという特徴があり様々な料理に合うといえます。ただバランスがいい反面優れたところにかけるといったデメリットもあります。それぞれ使いやすさなどを含めて扱いやすいものを見つけるのが一番かと思います。