日本では大根と言えば一般的な食材ですが海外に目を向けてみると、大根を食している国は少ないです。欧米諸国ではラディッシュをサラダに用いる程度です。アフリカ大陸などには大根料理はありません。
世界中で大根を加工し食す地域はアジア地域のみです。その中で大根を色々な料理に加工して様々な品種や種類があるのは日本だけです。
また大根の長い歴史の中で、日本各地には大根の郷土料理も数多く存在しています、この大根郷土料理も紹介していきます。
今回は大根料理一覧という事で、日本の一般的な大根料理、日本の大根郷土料理と紹介させて頂きます。
世界の大根料理は『世界の大根料理』で紹介させて頂いていますので、そちらもご覧ください
大根料理一覧
大根は卸して使ったり、煮物、焼き物、サラダなどに活用される事の多い料理です。一般的な家庭でも使われる料理を紹介します。大根料理のレパートリーに加えたいものがあると思います。
大根料理には、漬物もありますね。有名所の『守口漬け』『沢庵』『いぶりがっこ』『べったら漬け』は大根漬物のページで詳しく歴史なども紹介していますのでご覧ください。大根料理一覧では漬物は紹介していません。
大根おろし
大根料理で一番に紹介するのは大根おろしです。私は大根おろしが好きで大根を買ってきたら、3分の1は大根おろしになります。
大根おろしとポン酢の組み合わせは最強なのではないのではないでしょうか、ステーキにしても揚げ物にしても使いどころは多岐に渡ります。また大根おろしは大根をそのまま使うより栄養素が高くなりますので一石二鳥です。
大根おろしは料理として使い道が色々あります。
霙煮(みぞれに)
大根おろしを用いて食材を煮込んだ料理です。出汁と合わさり半透明になった大根おろしを霙に見立てた料理。
和食の献立では寒い冬に使う事の多い料理です。
また和え物に利用した場合、霙和え(みぞれあえ)、鍋物にした場合、霙鍋(みぞれなべ)と名を変え色々な料理法で活用されます。
しらす(いくら)おろし
大根おろしの上にしらすや、いくら等をのせ提供されるシンプルな料理。非常に簡単に出来る料理だがお酒の当てにピッタリの料理。
大根煮物
大根料理として一番メジャーな食べ方が煮物なのではないでしょうか。味がしみ込んだ大根はそれだけで美味しいですが、色々な食材と掛け合わせることで旨味が倍増します。
おでん
日本の冬の定番煮物、又は鍋料理の一種。語源は田楽の女房言葉と言われ地域によって味付けが異なる。種と呼ばれる様々な具材を出汁で煮込んだ料理。大根はおでん定番の一品である。
手羽元大根
手羽元の旨味を大根に移した料理。
料理の見栄えも良く食べ応えもあるので、お子様がいる家庭では活躍するの料理。
豚バラ大根
時期問わず、大根を使った家庭料理の定番なのではないだろうか。
大根と豚バラ肉を甘辛く煮た料理。
風呂吹き大根
厚切りにした大根を茹でて練り味噌をかけて供する料理。
家庭で作る事は少ないと思うが、和食では冬の一品料理などで活躍する料理。
ブリ大根
ブリの骨や身からでる旨味を大根に移した料理。
家庭でも和食でもよく見る料理、ブリの下処理により味の変化が大きい。下処理とは骨などの血合いを綺麗に掃除することで骨から旨味が出て美味しいブリ大根となるが、この掃除を適当に行うと、旨味と共に血なまぐささ等がでて非常に残念なブリ大根が出来てしまう。
その他の大根料理
煮る、おろす以外にも大根料理はありますので、そちらも紹介させて頂きます。
大根サラダ
大根のカットの仕方によって、色々なサラダに仕上げることができる。
スティック状にカットすればディップを楽しむサラダ、千切りにカットし、他の野菜と和えドレッシングを掛ければ、シャキシャキとした歯ごたえと大根の味を楽しめるサラダにと、どの様な食材を使っても、大根は他の食材の邪魔をするような事はないので非常にサラダとして使いやすい。
切干大根
大根を細長く切り乾燥させた物。
乾燥させた大根に砂糖や醤油で味を含ませ作る。お弁当などでよく使われる。
大根の皮だけでも切干大根が作れる、和食店では大根の皮が大量に出るので、私が若い頃、大根の皮を集め千切りにして干して置き、賄(まかない)の常備菜として活用していた。少量でもできるので、是非試してほしい。いつも捨ててしまう皮で一品できてしまう。
味噌汁
日本の食卓の定番汁物。出汁に味噌を溶き野菜などを具材とした汁物。大根も定番の具材の一つである。
みそ汁の具ランキングでは上位に入る大根です。
大根ステーキ
厚めの輪切りにした大根を一度ボイルして、フライパンで焼き醤油やみりんなどを用いて照りを付けた調理。
紅白なます
なますとは魚介や野菜などを刻み調味酢で和えた料理。紅白なますは大根と人参を用いその色を紅白に見立てた正月の縁起物ものとされています。
大根一覧 郷土料理
大根は様々な郷土料理が存在します。『北日本』『東日本』『西日本』と3地方に分類し地方別に紹介します。
北日本の郷土料理
烏賊と大根の煮物
岩手県の郷土料理(漁師料理)
イカと大根の煮物にはイカの腸(わた)も一緒に煮込んでいるのが特徴である。
おろし汁
秋田県横手町の郷土料理。
大根おろし、いものこや葱、なめこなどを入れた味噌汁。いものことは里芋の周りに出来る子芋や孫芋の事。
柿漬け
秋田県の郷土料理。
大根を渋柿、砂糖、塩で漬けた漬物。
こいり
青森県八戸市の郷土料理。
生たらこと千切りにした大根、人参を調味料で煮た料理です。紅白の色合いから正月料理として提供されてきました。
塩辛鍋
青森県の郷土料理。
イカの腸を煮汁として用いた鍋料理でイカや葱を煮込みたっぷりの大根おろしを加えた料理。
凍み大根の煮物
山形県の郷土料理。
凍み大根とは大根を干して作る山形の伝統的な保存食である。戻した凍み大根、じゃがいも、昆布、こんにゃくと一緒に煮た料理。身欠きにしんを加えた身欠きにしんの煮物が良く作られている。
とうぞう
秋田県田沢湖付近の郷土料理。
水漬け大根、塩漬けなすを水で塩抜きし刻んだものを納豆と一緒にかめなどで発酵させたもの。
ひきいなり
福島県の郷土料理。
ひきなは大根の千切りを意味しそれを炒めることからひきないりと呼ばれる。醤油、酒、味醂などを用いた甘辛い調味液で人参や油揚げなどと一緒に炒める料理。切り干し大根が用いられることもある。
ベンケイ
福島県南相馬市萱浜地区の郷土料理。
大根と芋がらを酢、醤油、砂糖などで炒り煮した料理。かつては正月用の保存食として重宝されていました。
芋殻の収穫時期に食べる季節料理として親しまれています。
東日本の郷土料理
越前おろし蕎麦
福井県越前地方の名物そば。
そばの上に大根おろしをのせたり、つけ汁に大根おろしを加えた料理。
海老大根
栃木県の郷土料理。
笹えびと言われる川海老、輪切りにした大根を砂糖や醤油などでじっくりと煮た料理。元来はハレの日や祝い事などで供される料理でした。
おくもじ
石川県の郷土料理。
大根と大根の葉を塩漬けにしたものを塩抜きし出汁などで煮る料理。
おしゅくじり
山梨県の郷土料理。
かぼちゃ、干したカブ、ダイコを入れた味噌汁に小麦粉を溶いた物を加えた料理。
「しゅくじり」とはしくじると同意で失敗を意味します。元々失敗したことで生まれた料理でこのように名付けられた。
お酢わい・お酢和え
富山県の郷土料理。
醤油と砂糖で煮たひじきと油揚げに塩をした大根、人参の千切りを加えて甘酢で和えた物。
から大根
福井県永平寺町地域の郷土料理。
乱切りにした大根を吸った胡麻、砂糖、醤油、油、みりん、酒、唐辛子で煮詰めた料理。この地区では冠婚葬祭に欠かせない料理となってる。
きりあえ
新潟県西蒲区岩室地域などの郷土料理。
細かく刻んだ大根の味噌漬けに柚子皮や擂り胡麻、砂糖などを混ぜ合わせた料理です。この地域では御飯に大量のきりあえをのせて提供します。
切干漬け
新潟県の郷土料理。
干した大根、人参、スルメ、昆布、数の子を調味液に漬けた料理です。新潟版松前漬けのような料理。
権座
福井県の郷土料理。
大根と打ち豆(ぬるま湯で戻した大豆をつぶし乾燥させた物)の煮物。短冊にした大根、せん切りにした人参打ち豆を砂糖や醤油で調味します。
滋賀県には同じように野菜と打ち豆を使用した権座をよく似た打ち豆汁という料理があります。
しもつかれ
栃木県の郷土料理。
茨城県や群馬県一部地域でも郷土料理として供されている。旧暦2月の初午の日、無病息災、破魔招福の祈りを込め赤飯と一緒に稲荷神社に供えられた行事食。鎌倉初期から伝えられている歴史のある料理。
鬼おろしで荒くおろした大根、人参と炒った大豆、鮭、油揚げを酒粕と調味料で煮た料理。
すずしろ汁
東京都の郷土料理。
大根、人参、里芋や鳥肉などを用いた味噌汁の上に大根おろしと大根の葉を刻んだものを混ぜ合わせのせた料理。
本来のすずしろ汁では地物の練馬大根が用いられる。
大根寿司
石川県金沢市の郷土料理。
正月料理として用いられるもので大根と身欠きニシンを用いたなれずしの一種。
かぶら寿司と並ぶ代表的な発酵食品の一つとされる。
大根蕎麦
栃木県佐野市の名物料理。
そばに大根の千切り(茹or生)を乗せた料理。
大根の葉のおあえ
福井県の郷土料理。
茹でた大根の葉を細かく刻み、味噌、いりごま、味醂と一緒に炒めた料理。
地域によっては御飯とおあえを一緒に炒飯の様に炒め合わせた「おあえもん」といった食べ方があります。
田植え煮物
長野県の郷土料理。
凍み大根、身欠きニシン、昆布、人参、さつま揚げなどを用いた煮物。
田植えの時期に作られる特別な「お田植料理」として食されてきた。
とうぞ
千葉県市原市や長南地区などの郷土料理。
大豆の煮汁、煮た大豆、干し大根、麹、塩を入れ発酵させる漬物です。味噌づくりの際に出た大豆の煮汁を用いて作られることが多い。かつては家庭で味噌づくりをしていた為、各家庭で作られていた。
煮こじ
長野県の郷土料理。
煮こじとは方言で長野県のごった煮の事を指します。葬式などで提供される煮こじには赤い野菜である人参を入れません。
柚子巻き大根
群馬県では「ゆず巻大根」、埼玉県では「ゆず巻」、福島県では「大根の柚子巻き」と呼ばれる各地の郷土料理。
大根の薄切りに塩をしてしんなりさせ、そこにゆずの皮をせん切りにしたものを巻き、甘酢に漬け込んだ料理。正月の精進料理としても用いられる。
よごし
富山県砺波市の郷土料理。
大根の葉の部分を茹で刻んだものを味噌で炒った物。なすやいもじと呼ばれる芋の葉などでも作られる。
西日本の郷土料理
あみ大根
岡山県の郷土料理。
いちょう切りにした大根と瀬戸内海に生息するサクラエビ科の小型のエビである「アキアミ」を醤油、砂糖、酒で煮た煮物である。
粥のこ汁
宮城県の郷土料理。
賽の目切りにした大根や人参、牛蒡などを用いた味噌汁。この地方では七草粥として供される。
きいこん
鹿児島県の郷土料理。
地鶏、大根、人参、干し椎茸、こんにゃくなどを用いた煮物で正月料理の一つとしても提供される。
ぐる煮
高知県の郷土料理。
大根、人参、里芋などの冬野菜を賽の目切りにして炊き、醤油で味付けした薄味の煮物。ぐるとは土佐の方言で「仲間」、「みんな」という意味があり色々な具材を煮込むことに由来しているという。
けんちょう
山口県の郷土料理。
大根、人参、豆腐を油で炒め、醤油、味醂、酒などを加え水分がなくなるくらいまで炒め煮した甘辛い料理。
こっぱ汁
鹿児島県桜島の郷土料理。
桜島大根、人参、里芋、シイタケなどを細切りにして味噌味に仕立てた汁。こっぱみじんに切っていたことが由来とされる。
炊いたん
京都府の郷土料理。
関西の言葉で炊いたものを意味する言葉で京料理おばんざいの一つ。大根や芋などの食材を出し、酒、醤油、味醂などで煮含めた物。
すろっぽ
和歌山県の郷土料理。
せん突きと呼ばれる調理器具で大根と人参を千切りにし油揚げと一緒に煮て最後に少量の酢を加えた料理。
名前の由来は千切りにすることから「せんろっぽん」が訛ってすろっぽと呼ばれるようになりました。
すんしゅい・酢のしゅい
宮崎県の郷土料理。
しゅいとは汁の事でどちらも「酢の汁」という意味を持つ。ぶつ切りにした鰯と大根おろしを醤油味で煮て酢で調味した料理。
酢が入っているのに温かいという少し変わった料理です。伝統野菜である「佐土原ナス」などを入れて作る事もあります。
大根の巻き付け
鹿児島県の郷土料理。
薄切りにして塩でしんなりさせた大根に干し柿を巻き甘酢煮漬けた料理。
てっぱい
香川県讃岐市の郷土料理。
ふななどの魚を細めに切る。大根、人参などを細切りにして塩でしんなりさせる。これらを酢味噌和えにした料理。鉄砲和えが語源とされる。京都の郷土料理でありおばんざいとして挙げられるてっぱいという同じ酢味噌和えの料理があるが葱がメインとなる料理でやや異なる。
とんこつの味噌煮
鹿児島県の郷土料理。
豚の軟骨またはスペアリブなどと大根、人参を味噌などで煮込んだ料理。
かつては薩摩兵児(さつまへこ)と呼ばれた若者たちが鍋を囲んで食べた男の料理とされています。
奈良和え
徳島県の七種の具材を使用することから七和え、奈良県から伝来してことによる奈良和えを語源とする。
大根、人参、蓮根、シイタケ、こんにゃく、油揚げ、刻み昆布を炒め、調味料を加え一煮立ちさせた料理。
奈良県にも奈良和えという料理があるが、奈良県の名産奈良漬けを用いるもので異なる料理である。
にごめ
広島県の郷土料理。
精進料理の一つともされる。あずきと1cm角に切った大根や人参、厚揚げこんにゃくとを煮込んだ料理。
煮菜(にじゃあ)
広島県福山市の郷土料理。
広島県福山地域の方言で畑で採れた野菜を使った煮物のことを「煮じゃあ」と呼ぶ。
大根や人参小松菜などを用いた煮物である。佐賀県に名前が同じ「煮じゃあ」という郷土料理があるがそれとは異なります。
煮みそ
愛知県西三河地方などの郷土料理。
赤味噌を用いた根菜を中心とした煮物で地域や家庭により作り方が異なる。
へそ大根の煮しめ
宮城県の郷土料理。
宮城県筆甫(ひっぽ)地区で作られているへそ大根を用いた煮物。へそ大根とは宮城県でつくられる凍み大根のことで筆甫地区伝統の保存食。
戻したへそ大根、干し椎茸、人参、結び昆布などを用いた煮物。
山川漬け
鹿児島県山川町の郷土料理。
天日乾燥させた大根を海水を入れた臼に浸し柔らかくし、それを洗い風干しして塩もみをしたのちに壺で漬け込み発酵させた料理です。壺で漬け込むので別名「壺漬け」とも呼ばれます。
湯なます
宮崎県宮崎市佐土原地区等の郷土料理。
千切り又はおろした大根と鰯を炒め煮し、仕上げに酢などで調味した料理で多少地域によって作り方が変わる。