冬・野菜

大根歴史。日本にどの様に伝わったのか!?

大根歴史

大根と言うと日本ではなじみ深い野菜です。大根の9割は日本で生産され、日本で消費されています。そんな大根は日本から生まれた野菜なのか?と疑問になります。

大根がどこから来て、どの様に日本で発展したのかを解説します。

大根基本情報

大根収穫

アブラナ科の1、2年草。高さ1mで地下に長大な白い根がある。紀元前5000年前位の地中海沿岸か中東が原産と考えられている。わが国では古事記にも於朋禰として記されている。また春の七草の一つでスズシロと呼ばれていた。四季を通じて栽培され、品種により播種期が異なる。一般には夏に種をまき、秋から冬に収穫する秋冬大根が多く、味も良い。主に肥大した根を食用とするほか、葉も食材となり、種子から油を採ることもある。緑黄色野菜でもあり、淡色野菜でもある。名前の由来は「大きな根」を意味する大根(おおね)から来た。多くの品種があり、根の長さ、太さなどの形状が多様なうえ、皮の色も白以外に赤、緑、黄、黒などがある。

大根は日本においては品種、調理法とも豊富で、世界一大きくて重い桜島大根、世界一長い守口ダイコンなどの種類があり、日本人の食卓には欠かすことのできない野菜となっている。また生産量、消費量共に日本は世界一となっている。

大根の分類と品種
色々ある大根品種。各大根の特徴や歴史大根の品種や種類は数多く在りますが皆さんが日々手にする大根は『青首大根』だと思います。他の大根には特色もあり非常に美味しいものも数多く在りますので、知っておくだけで出会った時に損しないと思います。...

葉はビタミンAを多く含み、青汁の原料として使われる。野菜としての位置づけにおいては薬味や煮込み料理にも使われるなど、利用の幅は広い。薬草であり、消化酵素を持ち、血栓防止作用や解毒作用がある。

根出葉は羽状複葉で、頂小葉は大きい、太い主根は主軸が肥大して食用となる。一般的に根と呼ばれる食用部分のうち地上部分は、発生学的には根ではなく、胚軸に由来する中間的な性質を持っている。青首大根では特に目立ち、ジャガイモ同様、光に応じて葉緑体を発達させる茎の性質を示している。

大根の旬

通年出回る。

種を蒔く時期により旬は異なる。

一般的には秋から冬が旬とされている。

大根歴史

古い地図

原産地は確定されていないが、地中海地方や中東と考えられている。紀元前2200年の古代エジプトで、今のハツカダイコンに近い物がピラミッド建設労働者の食料とされていたのが最古の栽培記録とされ、そのあと、ユーラシアの各地にへ伝わる。イギリスやフランスなどヨーロッパ諸国で栽培が始まったのは15~16世紀頃と言われています。中国でも紀元前500年前くらいに栽培されていたと見られている。

日本へは弥生時代には中国、朝鮮半島を経て伝播していたという説があるが定かではない。歴史として初めて登場するのは「古事記」(712年)の下巻冒頭の仁徳記(古事記の人徳天皇の条を指す)にある歌で[つぎねふ山城女の木鍬持ち打ちして淤富泥(おほね)根白の白腕枕かずけばこそ 知らずとも言わめ](木の鍬で育てた大根の様に白いあなたの腕を枕にしたことがなければ知らないというだろう)という物で淤富泥というのが大根を指している。また平安時代中期の「和妙類聚抄(934年頃)」には園菜類として於朋禰が挙げられている。また大根という字も記されている。また長屋王邸跡で発掘された木簡にも「知佐五束/大根四束・・・和銅五年(712年)一月八日国足」という記述が見られます。延喜式(927年)に中国から渡来したものと説明されていることから少なくとも1300年以上前に中国または朝鮮半島などから渡来したものと思われる。延喜式には蘿菔(らふ)と書いておおねと読んでいた。また日本書記(720年)にも登場している。

一般に大根と発音するようになったのは室町中期もしくは室町時代の前ぐらいとされている。文明年間(1469~1487年)ごろ成立した国語辞典「節用集」に「大根、藘菔(ろふ)、蘿菔(らふ)」とみられるようになった。江戸時代に1種類の食材に対して100種類の料理法を記した「百珍物」で大根が取り扱われたことからもうかがえるように、大根は当時の料理の多様性にも大いに貢献したと見られている。

江戸時代にまでに中国、朝鮮から次々に新しい品種が渡来し日本食文化にとあいまって次々に品種が育成されてきた。江戸時代に入ると人工130万人の世界最大の都市「江戸」に全国から様々な品種が集められ、また品種改良も盛んに行われたことから、今日の主な品種の大部分が誕生した。このころ練馬、宮重、守口、桜島などの大根が成立した。そして昭和30年代後半から大根にも一代雑種品種F₁品種が登場することとなる。

F₁品種とは生物や食物において、異なる2つの系統の交配により生まれた第一世代目の子孫のこと。

1974年新品種がタキイ種苗から「耐病総太り」が発表される。これは青首大根の宮重をもとに開発されたもので、同じ青首大根として現在では国内流通の約9割が青首大根となっている。

大根は昔の人には重要であった貴重な米の代わりとして主食にし、煮物、漬物、味噌汁としても利用され、かつて野菜の種類が少なかった日本では大根づくしの食事もめずらしくなかったようです。ちなみに明治後期の日本人は消費量が世界一である現在のおよそ3倍も大根を食べていたとのことです。

料理名にも鰤大根や切り干し大根、ふろ吹き大根、大根餅、大根サラダなど野菜にもかかわらず大根がメインにくるものも多く、大根なしでは成り立たないような料理も数多くあることから大根は日本人にとって重要な食材であることを改めて認識させられます。