かぼちゃを知らない人は少ないと思います。和食でもよく利用します。和食店ではかぼちゃと呼ばず南瓜(なんきん)と呼ぶ人の方が多いです。私は関東の人間で献立を書く際にもかぼちゃの事を南瓜と書きますが、関西の方は南京と書く方も居ます。
名前の由来や別称については『かぼちゃ由来』で紹介しておりますので、そちらをご覧ください。
かぼちゃはどこで生まれたのか
かぼちゃの起源をさかのぼっていくと、現在のメキシコやグアテマラの中南米が原産国とされています。
先住民が栽培を行っていたとされていて、その歴史は古く8000年~10000年前には栽培されていたと言います。古くから栽培され、食されていたとされる。とうもろこしよりも4000年前には栽培されていた事になります。
かぼちゃが世界に広まった経緯
1492年コロンブスがアメリカ大陸に渡った際にジャガイモなどの植物と一緒にヨーロッパに持ち替えられ大航海時代に世界中に広まりました。
大航海時代とはスペイン、ポルトガルなど各国、海にでて世界に勢力を伸ばそうとしていました。
日本は室町時代の終わりごろ戦国時代です。
かぼちゃ歴史、日本へ
かぼちゃは東南アジアでも栽培されるようになり日本には16世紀の1541年(天文10年)に漂着したポルトガル船により九州の豊後国(現在の大分県)に伝来します。
これは現在の日本かぼちゃであり、後に伝播し現在一般的になっている西洋かぼちゃとは別種のものです。
この時の大名である大友氏21代当主大友義鎮(おおともよししげ)、別名大友宗麟(そうりん)の謁見の際に宣教師パルタザール・ガコから献上されました。
その後1542年には種子島にも鉄砲などと一緒にポルトガル船で持ち込まれました。
また豊後の国では1548年(天文17年)に大友の許可を得て貿易を開始したと江戸時代後期の農政学者佐藤信淵の著した「草木六部耕種法」に記されています。
大友義鎮とは
大友義鎮(宗麟)は当時の人としては珍しく世界に目も向けた先見性を持った人物で、琉球、カンボジア、ポルトガルと貿易を行うなど経済的、外交的手腕にすぐれていた他、洗礼を受けてキリシタン大名(洗礼名はドン・フランシスコ)となった人物です。
かぼちゃを豊後で広めたことから、伝来したかぼちゃは「宗麟かぼちゃ」と呼ばれ、現在も大分県では宗麟かぼちゃの名称で販売されています。
豊後の国で栽培されていた種は現在の福岡県豊前市三毛門(みかけど)に伝わり、現在も三毛門かぼちゃとして栽培されています。
かぼちゃ歴史を年表で見る
1570年代 かぼちゃが長崎県にも伝わったことから全国的に栽培が広まっていくこととなります。
1600年代(17世紀) イギリスの料理本にパンプキンパイが登場。1675年ハンナ・ウイーリー著『上流婦人のお連れ』にも記載されている。
1651年 フランスの料理人ピエール・フランソワ・ラ・ヴァレンヌ著『フランスの料理人』にはかぼちゃのポタージュスープのレシピが掲載されている。
1833年 天保の飢饉の際には農学者大蔵永常は米の節約のためカボチャ飯の炊き方を『かまどのにぎわい(1833年)』の中で奨励した。
1863年(文久3年)に西洋かぼちゃがアメリカから渡来、当初(明治時代頃)は北海道などの北日本に広まり、大正時代には関東以南でも栽培されるようになった。
1895年(明治28年) 宮崎市で日向かぼちゃが栽培さされていたとされる記録がある。
1933年 品種の一つである打木赤皮甘栗かぼちゃは昭和8年委金沢県打木町の篤農家・故松本佐一郎氏が福島県から赤皮栗を導入し育成、昭和18年頃にほぼ完成とされた
第二次大戦中や戦後はじゃがいもと共に日本の食糧事情を支えていた。特にかぼちゃはどこでも栽培ができ栄養価も高いことから戦中、戦後は国が勧めるほどであった。
1964年 一般的にスーパーなどでよく見かけられる品種『えびす』が発表された。
1980年 この頃に丹生川村にかぼちゃの種が持ち込まれたことが、瓢箪のような特徴のある形をした宿儺(すくな)かぼちゃの始まりであり2001年に正式に宿儺かぼちゃと命名されました。
1980年代 イタリア料理で主に使われていたペポカボチャ仲間であるズッキーニが日本にも登場するようになる。
2000年 ドイツシュツットガルトにて世界最大のかぼちゃ祭りとされる『ルートヴィヒスブルクカボチャフェスティバル(展示会)』の第一回が開催。
2004年 アメリカオレゴン州にてくりぬいた巨大カボチャのボートレースの第一回大会が行われている。
2010年 アメリカオハイオ州にて世界最大のパンプキンパイが作られ、その大きさは6mにも及び、重さは3699ポンド(1678kg)であった。
2013年 ドイツにて巨大カボチャを用いたボートレースの第一回大会が開催されている。
2016年 ドイツで行われた巨大カボチャの大会でベルギー人のマティアス・ウィレミンズさんのかぼちゃが1190.5kgを記録しギネスに認定されている。
ハロウィン歴史
現代のハロウィンは仮装して町にでて騒ぐようなイメージがありますね。
ハロウィンではかぼちゃをくり抜きジャックオーランタンにしたものがつきものです。
本来のハロウィンはどの様なものだったのでしょうか?
ハロウィンの始まりはケルト人
ハロウィンはアイルランドの古代ケルト人のお祭りでした。
2000年以上前の話です。古代ケルト人の1年の終わりは10月31日でした。秋の終わりを、そして冬の始まりを意味していました。11月1日に行われるサウィン祭と呼ばれる新年の始まりを祝う祭りの際には前日より、かがり火を焚き収穫を祈ると共に、作物や動物の犠牲を供養したのである。
11月の朝が来ると、このかがり火から各々の家庭が燃えさしを持ち帰り炉床に火をともしたのである。このサウィン祭こそがハロウィンの起源とされています。
10月31日にはあの世とこの世の門が開くと信じられており、死者の霊が家族を訪問するとされていた為、家にご馳走をなどを用意しておくのである。そして子供には悪魔やお化けなどの恐い仮装をさせることで死者の魂に対して仲間だと思わせることで身を守るものとされています。この風習こそが現在のハロウィンの習慣の起源となったとされています。
ハロウィンとなった経緯
ハロウィンとは古代ケルト人が行ってた信仰祭事とキリスト教が合わさったような形で生まれたものであり、キリスト教の諸聖人に祈りをささげる「万聖節」の前夜祭として行われていくようになりました。
「Halloween」のHallowとは聖人を意味する言葉であり「諸聖人の日=ALL SAINTS´Day」は「ALL Hallws」とも表記されるのである。つまりALL Hallws Eve諸聖人の前夜祭が短くなり「Halloween」となりました。
ジャックオーランタンのかがり火
アイルランド、古代ケルト人に古くから伝わるお話です。
悪さばかりしていたジャックという男性が10月31日の夜に自分の魂を狙う悪魔に対しても悪だくみを働き、悪魔をも騙し自分の魂をとらせないという契約を結び付けます。
亡くなったジャックは悪さばかりしていた為、天国に行けるはずもなく地獄の門をたたくのですが、魂をとらせないと契約したため地獄にも行けず引き返せと言われてしまいます。
しかし引き返そうにも暗くて道が分からないので今度は火をくれというのです。そしてその火種をくりぬいたカブの中にいれて提灯にし、永遠にあの世とこの世をさまようというお話です。
ジャックオーランタンは本来かぼちゃでなく、カブを用いたかがり火だったようです。
ジャックオーランタン、カブからかぼちゃに!?
ハロウィンはアメリカにも元々は根づいておらず、19世紀アイルランド飢饉などにより大量の移民がアメリカに渡ったことで広まり20世紀に定着するのであった。
アメリカではカブを育てる文化は一般的ではなく、非常に多く取れるかぼちゃがあった事からカブからかぼちゃへとすり替わってしまった経緯がある。
スコットランドでは現在もカブを用いている。
現代のハロウィンになった経緯
アメリカで1900年代にメディアによる仕掛けにより『トリックオアトリート』を広く普及することとなり、やがて1年の一大イベントになるほど広がりを見せることとなる。
こうした流れは世界に広まり、世界中の様々な国でアメリカ同様大規模なお祭りとして扱われていることが多くなる。
日本ではつい数十年ほどまえまでは現在のようなイベント的要素はなかったが1990年代後半より東京ディズニーランドなどを始め各地でイベントが行われる様になった事で徐々に定着を見せ、SNSの普及やお菓子メーカーによる参入、メディア戦略などにより定着することとなる。しかしながら本来のハロウィンの祭りの意味とは程遠いお祭り騒ぎのイベントと化してしまっているのが現状である。
日本かぼちゃ 西洋かぼちゃ
かぼちゃには数多くの種類が存在しますが、現在世界で栽培されている主な種類は大まかに5種類とされています。
その5種類は
- 日本かぼちゃ
- 西洋かぼちゃ
- ペポカボチャ
- クロダネカボチャ(フィシフィリオ種)
- ミキスタかぼちゃ(ミキスタ種)
となり、日本で栽培されているものは、日本かぼちゃ、西洋かぼちゃ、ペポカボチャの3種となります。この種類に様々な品種があります。その品種は『かぼちゃの種類と品種』で詳しく紹介していますので、そちらをご覧ください。
かぼちゃ 生産量 ランキング
かぼちゃ歴史は見てきた通り長い歴史があり、現在に至ります。品種改良なども行われ現在日本では、日本かぼちゃ、西洋かぼちゃ、ペポカボチャの3種が栽培されています。どこで栽培が盛んなのかを紹介します。
【農林水産省 令和2年 野菜生産出荷統計 参照】
全国の収穫 186600t
- 北海道 92300t 49.5%
- 鹿児島 7500t 4%
- 茨城 6510t 3.5%
- 長野 6520t 3.5%
- 長崎 5310t 1.2%
半分近くが北海道で生産されています。北海道で生産されているかぼちゃの種類は西洋かぼちゃが多いです。
南瓜料理
家庭でかぼちゃの料理の定番はかぼちゃの煮物やコロッケでしょうか。和食屋では天ぷらや裏漉して饅頭にすることも多いかぼちゃですが各地域によって郷土料理と呼ばれるものも多い料理です。
有名なかぼちゃ料理と言えば、山形県のほうとうや、京都のいとこ汁などが思い浮かびますまた世界でもかぼちゃは愛され食されています。その様な日本のかぼちゃ料理、郷土料理、世界のかぼちゃ料理は『世界かぼちゃ料理』で紹介していますのでそちらもご覧ください。