夏・魚

穴子料理と穴子の基本情報、調理方法

穴子料理

夏の献立にはかかせない穴子です。天ぷらや白焼きなどは和食屋さんでよく目にしますね。

板前になって2年目だったでしょうか、穴子をひらく(卸す)仕事をやらせてもらいました。要領が悪く何本もお客様に出せない姿にしてしまい怒られました。

この作業は非常に苦手で苦戦しました。悔しくなって休みのたびに穴子を30本ほど買い、寮で練習しました。夏が終わるころには上達し簡単に開けるようになり。寮の冷凍庫は穴子だらけになりました。非常に思い出深い魚です。

近年では、開いてある穴子が販売されていますね。

アナゴ基本情報

アナゴ科海水魚の総称。普通マアナゴを指す

形はウナギに似ているが、脂肪分がウナギより少ない。種類が多く10種を超すが基本市場に出回るものはマアナゴで一般的にアナゴと呼ばれている。

マアナゴ以外に一般的に食用とされるものとして、ごてんあなご、ぎんあなご、くろあなご、きりあなご等がある。

【名前の由来】

穴に住むことから穴子となった説が有力

穴子の旬 

通年流通しているが、脂乗りが悪い夏場が旬

穴子は淡白な方が旨いため『梅雨穴子』『夏穴子』と呼ばれる時期のものが好まれる。

調理用語辞典には。一年通し味に変化はないが7月、8月にビタミンAが豊富で美味と記載がある。

穴子の産地 

北海道以南の日本各地、朝鮮半島、東シナ海など

漁獲量が多いのは長崎県、島根県、宮城県となっている。

穴子の栄養素

栄養成分はタンパク質18%、脂肪10%ほどで脂肪が多くビタミンAも豊富

【生の穴子100g当たり、多く含まれている栄養素】

  • タンパク質 17.3g
  • ナトリウム 150㎎
  • カリウム 370㎎
  • リン 210㎎
  • ビタミンA 500㎍
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穴子の種類と特徴

穴子は10種以上存在するが、飲食店で扱われる事のある3種の違いと特色を紹介します。

マアナゴ

細長い円筒形をしている、尾部は側扁し、体側に銀白色の小斑点が一直線に並んでいる。

成魚は雄で45㎝、雌は1mにもなるが、出回るものは30㎝~40㎝位のもの。まあた若魚はめそっこめそあなごと呼ばれ身も皮も柔らかく商品価値が高い。稚魚はのれそれと呼ばれ、乳白色で生臭みがなく、珍味。のれそれの名前の由来は船で水揚げの際、乗ったりそれたりしているからのれそれと呼ばれるという説がある。

卸し方(さきかた)は関東では背開き。関西では腹開きにする。

ごてんあなご

目の上下に濃褐色の斑点がある、これが御殿に仕えた女官の黛(まゆずみ)のように見える為この名が付いたと言われている。全長60㎝マアナゴより太くて短い。体色は淡褐色。味はマアナゴに比べると少し劣る。日本各地、インド洋に至る砂泥地生息。

ぎんあなご

全長45㎝ほど、マアナゴに体形は似ているが、名の通り部分が多い腹側は銀色に光っている。きつねという地方名もある。日本各地、南シナ海に至る砂泥地に生息

穴子の料理・調理法

夏のコースには穴子料理を使う事が多いのではないでしょうか。今回はコースの中に入れやすいもの、利用しやすい、穴子料理をいくつか紹介させて頂きます。

穴子の天ぷらの様な調理の手間がかからないようなものは省かせてもらいました。個人的には穴子は天ぷらが手間もかからず一番美味しく食べられると思っています。

私は関東の人間なので穴子は背開きで卸していましたが、開き方によって調理方法は変わらないと思います。(関西では腹からひらく)

穴子は開いてあるものを用意してあるという前提で紹介させて頂きます。

穴子飯蒸し(凌ぎ)

お凌ぎによく使われる穴子料理です。甘辛く炊いた穴子とふっくらしたもち米の相性は良いです。

蒸し物としても提供できます。

お凌ぎとして利用する場合は量に気を付けましょう。一口分で十分です。

うるち米、もち米、穴子

【割合】酒4、濃3、味3、砂糖0,5、出汁2~3

【作り方】

  1. もち米1・うるち米1の割合で少し固めに炊く
  2. 穴子は開いて熱湯にくぐらせ、霜降りし、皮目のぬめりを包丁でこそげおとす
  3. 鍋に割合の出汁と穴子を入れ弱火で20分煮る
  4. 煮あがった穴子は包丁の腹など使って平らにする
  5. 米は寿司に使うくらいのサイズに握る
  6. 穴子を2つ折りにして中に米を包む。軽く蒸す
  7. 天に山葵、銀餡もしくは穴子を炊いた汁で提供

穴子独活巻き(煮物・前菜)

初夏に使える穴子料理です。春の食材である独活を使うので、献立には『名残独活と穴子の煮物』などにしておけば、聞こえも良いのではないでしょうか。

穴子・独活・若芽

【割合】 出汁9、酒1、味1、薄1

【作り方】

  1. 穴子を白焼きにする。粗熱をとり縦4本位にカット
  2. 独活は20㎝位に切って、皮を剥き、4つ割りにして灰汁をぬく
  3. 若芽は固めに戻す
  4. 穴子の上に水気を切った独活と若芽を並べ巻く
  5. タコ糸で結ぶ
  6. 鍋に割合の地と穴子を入れ15分程弱火で炊く
  7. 包丁して提供

穴子雲丹焼き(前菜)

  1. 穴子は開いて白焼き
  2. 味、酒同量のタレをかけ焼きして、しっかり乾かす
  3. 卵黄に雲丹を入れてよく混ぜる。ハケで身の方に2,3度塗り乾かす
  4. 包丁して提供

穴子の卸和え(酢の物)

  1. 穴子は軽く塩を振って焼く
  2. 穴子は1,5㎝位の小口に包丁する
  3. 三杯酢に同量の卸し大根を混ぜる。(大根おろしの水分はいれすぎないように)
  4. ③に穴子をいれよく和える

穴子黄身醤油焼き(前菜・焼き物)

穴子の白焼を黄身醤油をかけて焼いたもの。

穴子切り胡麻和え(酢の物)

  1. 穴子は照り焼きにする。粗熱を取り小口に包丁しておく
  2. 胡瓜は板擦りして縦半分にして種を抜き、笹打ち
  3. 胡瓜は塩でしんなりさせて、塩、水分をよくきる
  4. 砂糖を振りまぜ30分程置き、酢を加える。
  5. 白ごまを炒って包丁で切り胡麻にする
  6. 全部和える。天には大葉、茗荷の千切りなどが合う

穴子ご飯(食事)

  1. 穴子は開いて照り焼きにする
  2. ご飯はやや固めに炊く
  3. 焼いた穴子は小口に包丁して、焼きダレを鍋に少々移して火にかけ穴子を入れ一煮立ちさせ、炊きあがった米に入れる(タレの量は加減してください)
  4. 錦糸卵、大葉の千切りや針生姜、茗荷など天に盛って提供

観月穴子(前菜・煮物)

穴子月環、穴子月冠ということもある。

竜眼穴子とほぼ同じだが、こちらは炒り卵でつくる。

巻きすの上で巻いていく。

穴子田楽(前菜・焼き物)

穴子を白焼きにしてから味噌を塗って焼く。

木の芽味噌や玉子味噌などがよく合う。

穴子二見揚げ(揚げ物)

エビのすり身を穴子につけて揚げたもの

穴子柳川(鍋)(煮物)

穴子・午房・椎茸・三つ葉・玉子

【割合】 出汁8、薄1、味1

【作り方】

  1. 穴子は開き、皮目を上にして抜き板に並べて熱湯をかけて、水に落とす包丁でよくぬめりをおとす
  2. 穴子は1㎝幅に斜めに包丁する
  3. ゴボウは細めの土午房を土だけ落とし使用する。細い笹がきにして水に落とし灰汁を抜く
  4. 午房はさっと油で炒める
  5. 椎茸は千切り、三つ葉は3㎝位に切っておく
  6. 割合い出汁に、穴子、ゴボウ、椎茸を入れる
  7. 穴子に火が通ったら、玉子をとき入れ、火を止め三つ葉を入れる
  8. 粉山椒と共に提供する。

竜眼穴子(前菜・煮物・揚げ物)

うずらの卵をあなごに巻き付け炊いたもの。揚げ物にもできる

切り口を見せ竜の目を表現する。

のれそれ若芽と胡瓜の酢の物(酢の物)

三杯酢に蛇腹胡瓜と若芽を添えて。

ポン酢に赤卸しでも美味しくたべれる。レモン酢などでも美味しい

合わせ酢
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献立お役立て!

竜眼とはうずらの玉子を使い、切り口を見せて、その切り口を竜の目に見立てているのでこの名がついています。月冠とは満月に廻りにうっすらとかかる輪のことです。献立を作る際名称も大事なので覚えておきましょう。