リコピンとは赤色やオレンジ色などのカロテノイド天然色素の一つである。カロテノイドは主にカロテン系とキサントフィル系に分かれリコピンはカロテン系に属する成分であり、βカロテンの仲間であります。
そんなリコピンにはどの様な効果が期待されているのでしょうか?またリコピンはどの様に摂取すれば効率が良いか、トマト以外の野菜にはリコピンという成分はあるのかなど、リコピンについて、詳しく解説していきます。
リコピン効果
リコピン効果は主にトマトに含有されている成分として有名で一昔前は「さらさら血」にする作用、現在では高い抗酸化作用が注目されています。
リコピンの効果は血液をサラサラにするだけではないので、他にどの様な効果が期待されているか見ていきましょう。
リコピン効果 抗酸化作用
リコピンに含まれる抗酸化作用はビタミンEのおよそ100倍、ベータカロテンのおよそ2倍と言われています。
抗酸化作用とは?
人間が生きていくうえで老化などの原因となる活性酸素を抑制をする力です。活性酸素は普段生きていくうえで必要なファクターではありますが、ストレス、食生活の乱れ、強い紫外線、喫煙、大量のアルコール摂取などにより過剰に産生されてしまいます。過剰に産生された活性酸素は体内の酸化につながり老化、免疫力の低下などの原因にもなるのです。こうした活性酸素の働きを抑え、体の酸化や老化などを抑制する働きが抗酸化作用なのです。
高い抗酸化作用によって体の老化を防ぐためアンチエイジングにつながる他、生活習慣病などの予防、肥満防止などにも効果的であるとされています。抗酸化作用を持つ他の成分としてはビタミンCやE、カテキン、アントシアニン等が挙げられます。
リコピン効果 血流改善作用(心筋梗塞、脳梗塞予防)
体の血流をよくする効果あるとされ、血流をよくすることで代謝の促進による肥満防止や心筋梗塞、脳梗塞など、血液の流れが悪くなることで起こりやすくなる病気の予防になります。
リコピンの摂取量が多いほど心筋梗塞のリスクが低くなることなどが報告されています。
リコピン効果 前立腺癌の予防
47000人以上の医療従事者の8年間にわたる追跡調査を行ったプロスペクティブ研究では、トマト及び、トマト関連製品(膳リコピン摂取の82%の割合を占める)から最高用量のリコピンを接種した人々が最低用量のリコピンを接種した人々と比較して前立腺癌の発症リスクが21%低かったことが証明されたという研究結果があります。
リコピンの摂取と前立腺癌の関係性はないという研究結果もあり、リコピンによるものなのか、トマトに含まれる別の機能性成分によるものなのか未だ解明されておりません。
リコピン効果 血圧低下作用
ビタミンなどの抗酸化作用を含む成分などでは、ほぼ報告されている成果ではあるがリコピンでも同様に成果がもたらされている。イスラエルのベングリオン・ネゲブ大学の研究では、高血圧の人がトマトを食べると血圧が低下したという研究結果があります。
リコピン効果 脳卒中のリスク低減作用
フィンランドの46~65歳の1031人の男性を12.1年追跡した研究で、トマトからのリコピンの摂取量が多い男性では、少ない男性に比べ脳卒中のリスクが最大で55%低下したという研究結果がある。血圧の低下や、血流の改善作用を考えれば、こうした病気に対し効果的であることが伺える。
リコピン効果 肺癌予防効果
非喫煙者の男性では12mg、女性では6.5mgの食事由来のリコピンが肺癌に対して予防効果を示したとされる。
リコピン効果 アンチエイジング効果
紫外線などを浴びることによりメラニンが生成されシミなどの原因となりますが、抗酸化作用によりメラニンの生成を行わずに肌を守るため、シミなどの皮膚の着色を防ぐ効果があります。
これらはあくまでも研究結果などが報告されている事例であって、抗酸化作用は体の老朽化を防ぐ力であることから、様々な病気などのリスクを抑える力があると考えられています。
リコピンの効率的な摂取方法について
リコピンの素晴らしい効果については理解していただいたと思います。ここからはその様な効果を最大限活用できる方法を紹介します。
リコピンは油と一緒に採ることで吸収率がアップする
リコピンは油に溶けやすい性質を持っている為その相性は抜群です。トマトからリコピンを摂取するのであれば、油で炒めたりすることでリコピンは体に吸収されやすくなります。また生のまま食する場合でもドレッシングやオリーブオイルを一回しすることでリコピンの吸収率は上がります。
トマトはつぶして使用する
トマトは生のままよりも加工したほうがリコピンは2~3倍吸収されやすい性質を持ちます。例えばトマトつぶしたり、擂ったり、ミキサーにかけるなどすることにより細胞壁が壊れるためよりリコピンを接種しやすい状態になるのです。
トマトを加熱することでリコピンの吸収率を上げる
リコピンは熱に強く加熱してもその成分にはほぼ影響はありません。トマトから摂取する際は加熱することでトマトの細胞壁が壊れるためリコピンをより摂取しやすい状況にします。
トマトの皮もできるだけ食べるようにする
トマトを調理する際に湯剥きなどにより皮を採ることがありますが、できればこの皮についても食べていただきたいです。というのも皮は実以上にリコピンの含有量が高い部位だからです。
トマトを選ぶ際は熟しているものを選ぶ
リコピンを多く含むトマトですが熟しているものとそうでないものではリコピンの含有量に雲泥の差が出ます。その差は10倍ほどにもなる為、熟しているものを選びましょう。また青く未完熟のトマトを追熟しても栽培により完熟したものと比べると含有量は低くなります。
ミニトマトは大玉に比べリコピンが2倍以上
ミニトマトはその小さいサイズに成分を凝縮して作られている為なのか、栄養価は一般の大玉トマトに比べ多くなっています。リコピンについてはおよそ2倍以上とされ効率的に栄養を取りたいのであればミニトマトを食べましょう。
ケチャップを使用する
リコピンは生の状態では吸収性が非常に弱く加工品の方が2~3倍も吸収しやすいことが分かっています。
一般のトマトやミニトマトよりもリコピンの含有量が多いのが実はケチャップです。今までの記述を整理すればわかる通り、完熟トマトをペースト状になるまで破砕し、油と共に加熱して作られるていますから、リコピンを効率よく摂取する工程がしっかりとなされているわけです。こうして作られているケチャップは実はリコピンが多量に含まれた健康的な調味料なのです。ただ塩分や糖類なども含まれているので、いくら健康的と言っても過剰摂取はいけません。
リコピンを含むその他の食材
トマトは好きな野菜ランキング上位の常連で人気の高い野菜ですが、トマトの種部分にあたるゼリー状の食感や、青臭さがどうしても気になる人が多く、嫌いな野菜のTOP10の常連でもある非常に好き嫌いが分かれる野菜でもあります。
トマト以外からリコピンは摂取出来ないのか?と思う方もいるでしょう。トマト以外にもリコピンを含んでいる野菜はありますので紹介します。
リコピンを含む果菜
- ピンクグレープフルーツ
- スイカ
- 柿
- 金時人参
- マンゴーなど
リコピンを含む果菜として挙げられます。
リコピンは赤やオレンジ色の色素であることからどれもそのような色をしたものばかりですね。
リコピンを含んでいそうで含んでいない果菜もあります。それらはいちご、サクランボ、リンゴです。これらは赤い色をしており、いかにもリコピンを含んでいそうですが全く含有していません。というのもこれらの果物の赤い色は天然ポリフェノール色素の一種であるアントシアニンによる色だからです。
近年ではサプリメントなどからもリコピンを摂取できますので、トマトが嫌いな人はチェックしてみてもいいかもしれません。
リコピン摂取量
リコピンの一日の摂取目安は15㎎~20㎎となっています。
トマトの種類や品種によってリコピン含有量は違いますので正確には言えませんが、大玉種のトマトを生で2個位、ミニトマトを生で15個位となります。