かぼちゃには様々な種類や品種が存在します。私たちがスーパーなどでよく見かけるかぼちゃは、西洋カボチャという種類の栗かぼちゃという品種です。夏によく使う野菜ズッキーニも実はかぼちゃの仲間で、ペポカボチャという種類に分類されます。
この様にかぼちゃには種類があり、その中に様々な品種があります。今回この種類と品種の特徴を解説していきます。
世界には面白いカボチャの料理なども多く存在します、また日本では多くのカボチャの郷土料理があります。その様な料理を紹介している『世界のカボチャ料理』でまとめてありますのでそちらも見ていって下さい。
かぼちゃ種類
かぼちゃは大まかな種類として5種類に分類されます。『日本カボチャ』『西洋カボチャ』『ペポカボチャ』『クロダネカボチャ』『ミキスタカボチャ』です。日本で栽培されているのは日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャの3種になります。
ミニカボチャと聞いた事があるかもしれせんが、これは種類は本来ありません。5種に分類されたカボチャの品種の小さいものをミニカボチャと呼んでいます。
二ホンカボチャ(モスカータ種)
日本に伝わった初めてのかぼちゃの種類です。
かつては、日本中で栽培されていましたが、西洋カボチャの台頭により現在では栽培されている数は極少数となってしまいました。地方の伝統野菜として栽培されている所もあります。非常に珍しい品種などは高級料亭などでしか見ることは無くなってしまいました。
日本カボチャは、表面がでこぼこしているのが特徴です。皮は品種により異なり黒色や白っぽいものまであります。
日本カボチャは、西洋カボチャに比べ粘度があり、ねっとりした食感をです。味はあっさりしていて甘みが薄いものが多い、日本料理との相性が非常に良い。煮物や揚げ物などを始めとして、食材を中に詰めたかぼちゃを蒸し上げた料理に使用される事が多いです。
セイヨウカボチャ
日本で栽培されている一番多い種であり、スーパーなどで見かけるかぼちゃは一般的に西洋 カボチャです。
かつては日本カボチャが主流でしたが食生活の西洋化などに伴い戦後から普及し始め、現在では日本で栽培されているカボチャのほとんどがこの西洋カボチャとなっています。
品種により味や見た目が全然違いますが、一般的な栗かぼちゃなどは甘みが強く煮崩れしやすい。
ペポカボチャ
日本ではあまり見慣れない種ではありますが、馴染みのある所ではイタリアから輸入されてきたズッキーニがこのペポかぼちゃの種類に当たります。
その他日本で古くから栽培されている金糸瓜もこの種。西洋かぼちゃなどと比べ甘味が少ない為利用法も異なります。
和食店では金糸瓜を酢の物にしたりします。茹でると身がパラパラ剥がれます。そうめんかぼちゃと呼ばれる事もあります。
ズッキーニはお店でよく利用していましたが、かぼちゃの種と知ったのは板前を初めて10年以上たった時でした、衝撃でした。かぼちゃとは全くの別物で味も形も用途も全然違うのにかぼちゃの仲間とは・・・
クロダネカボチャ(フィシフィリオ種)
クロダネかぼちゃは標高2000メートルまでの温暖な高地で栽培されているかぼちゃで学名ではイチジクの葉を意味する『ficifolia』が使われる他スペインでは天使の髪の毛と呼ばれる。
表皮は緑と白のまだら模様の様でスイカにも似ています。非常に皮が硬く、果肉は金糸瓜の様な非常に繊維質な物となっています。
非常に甘い為お菓子などに用いられることが多いです。
日本で栽培されていません、またスーパーなどで見かけることも無い種です。
ミキスタカボチャ(ミキスタ種)
北アメリカ原産のかぼちゃで日本では中々見かけることがないかぼちゃ。
灰色と緑色の縞模様のスイカのような見た目をした果皮を持ち、丸や瓢箪の形などをしている物が多いが、他の種類同様、品種によって形や色が異なる。
果肉は主に西洋かぼちゃと同じようなオレンジ色をしている。
大きくて丸いSilver Edge(シルバーエッジ)や瓢箪のような形をしたJonathan(ジョナサン)などがある。
かぼちゃ品種
ここまでカボチャの種類を紹介しました、その種類の中の日本で栽培されている、日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャと種類には属されませんが、ミニカボチャと呼ばれる4種の有名な品種を紹介します。
日本カボチャ品種
日本に初めて伝わったカボチャの種です。非常に水分が多く煮物などに向いている品種が多くあります。
今ではあまり見かけませんが、日本カボチャの有名品種を紹介します。
会津菊カボチャ
江戸時代から会津地方で栽培されている伝統野菜の一つで表面のおうとつが大きく赤茶色の皮が特徴。日本かぼちゃ特有のねっとりとした食感をしており煮物に向いている。
黒皮かぼちゃ(日向かぼちゃ)
黒っぽい皮が特徴の宮崎県の特産物。日本かぼちゃの象徴的かぼちゃで歴史ある伝統野菜。
希少価値が高く料亭などで好んで使われるかぼちゃ、スーパなどで見かけることはほぼない。
菊座かぼちゃ(内藤カボチャ)
日本江戸野菜の一つ。新種の高遠藩主であった内藤家が栽培されていたことから内藤かぼちゃと呼ばれるようになった。
水分が多く、ねっとり感が楽しめる。甘みは少なくサッパリしている。
島かぼちゃ
沖縄県で古くから栽培されてきたかぼちゃで、地元では「ナンクワー」や「チンクァー」とも呼ばれている。
鹿ヶ谷かぼちゃ
京野菜の一つで「京のブランド産品」の一つに数えられます。ひょうたんのような形をしており京都では「おかぼ」と呼ばれています。
現在では一般に流通することはほとんどなく料亭等でしかお目にかかれないほど希少とされています。
食用以外にも茶席での飾りなどに用いられることがあります。元々は菊座型をしていたが、時と共に瓢箪型へと変わっていった経緯がある。
京都府左京区の安楽寺では毎年7月25日にかぼちゃ供養が行われ鹿ヶ谷かぼちゃが供えられる。
バターナッツ・スクワッシュ
バターのようなねっとりとした果肉が名前の由来となっているかぼちゃ。
日本では知名度が薄いがアメリカではポピュラーな種であります。果皮は黄褐色から肌色で、細長く下がの部分が膨らんだような形をしています。
このスクワッシュはカボチャという意味です。英語でカボチャはパンプキンでは無いの?と思った方は『かぼちゃ由来』で詳しく解説していますので、そちらも見てみてください。
韓国かぼちゃ
韓国ではかぼちゃのことを「ホバク」といい親しまれています。韓国かぼちゃは若どりかぼちゃでズッキーニの様な形をしています。
食感もズッキーニに少し似ており外はサクっと、中はしっとりしています。ただズッキーニと違い大別すると日本かぼちゃに属します。
炒め物や汁物などに向いています。
西洋カボチャ品種
現在のカボチャ主流の西洋カボチャの品種を紹介します
黒皮栗カボチャ(栗カボチャ)
一般的にスーパなどに並んでいるカボチャはこの栗カボチャです。もとは西洋カボチャのバターカップ・スクヮッシュから作られた一品種であったが、現在では同じような味や特徴を持つカボチャを広域に栗カボチャと呼ばれています。
この栗カボチャと呼ばれているカボチャも紹介します
みやこかぼちゃ
サカタの種が育成した品種でホクホクとした食感があり、表皮が濃い緑色をしており薄い緑色がストライプに入っています。
えびすかぼちゃ
タキイ種苗株式会社が育成し1964年に発表した品種。やや粘質な肉質で甘みも良い。
発表後日本中に広まり長きにわたり人気の品種となった。
ほっこりかぼちゃ
タキイ種苗株式会社が育成した品種でえびすかぼちゃの改良品種です。
非常に甘味が強く風味も非常に良いのが特徴です。
くりゆたか
ヴィルモランみかど株式会社が育成した品種。1.8~2.0kgにもなる大玉品種で甘みも強く玉の揃いが良くホクホク感がある。
九重栗南瓜
カネコ種苗株式会社が販売している品種で非常に粉質な為ホクホクとした食感が特徴です。
芳香青皮栗かぼちゃ(東京かぼちゃ)
1934年(昭和9年)に渡辺採取場が発表した西洋かぼちゃの一種で果皮が少し青っぽいのが特徴です。
打木赤皮天栗かぼちゃ
非常にまろやかで甘く肉質は粘質である。加賀野菜の一つでもある。皮がオレンジ色のような色をしています。
昭和初期に福島佐一郎氏によって福島県にもたらされたのがきっかけでありその後10年ほどかけて育成し、完成させた品種です。
赤皮栗かぼちゃ
皮がオレンジ色に近い色をしたかぼちゃで打気赤皮栗かぼちゃに代表する品種です
白皮栗かぼちゃ
その名前の通り皮が白いかぼちゃである。かぼちゃ特有の青臭さが薄い品種で寒くなってきた時期に店頭に並ぶことが多い。
白い皮のカボチャの名称として白皮栗かぼちゃと呼ばれる事もある。白い皮の品種も合わせて紹介します。
雪化粧
サカタの種が育成した白栗皮かぼちゃの品種で寒冷地向けの栽培品種です。大きめで甘味も強くホクホクしています。
白爵
株式会社渡辺採取場で育成された品種でハート形をしています。ホクホクしていて非常に甘味が強いのが特徴です。
夢味
タキイ種苗株式会社が育成した品種できれいな白い皮が特徴。日持ちも良く甘みも強い。
ターバン・スクワッシュ
まるでターバンを巻いているように見えることからその名がついた。日本国内では生産されておらずアメリカから輸入されている。
食味には欠ける。主に装飾用や観賞用などで利用される事が多い。
コリンキー
山形セルトップとサカタの種によって2002年に登録されたかぼちゃの一種。皮がレモンのような色をしているのが特徴。
生食用に育成されたものでオーストラリアと日本のかぼちゃがかけあわされてます。水分が非常に多くかぼちゃというよりかは胡瓜に近い食感です。
こふき
ナント種苗が育成した品種。強粉質なためホクホクとした食感が特徴。一般的なかぼちゃよりもやや高級なかぼちゃです。
鈴かぼちゃ
アグリジャパン株式会社が育成、販売しているかぼちゃで、皮も丸ごと生食できてしまいます。カットした表面がレモンのような色合いをしているのも特徴です。
非常に水瑞しくコリコリとした食感がします。
バナナ・スクワッシュ
細長い円筒形をしたかぼちゃで皮は少しくすんだようなオレンジ色をしています。果肉は非常に柔らかいです。
宿儺(すくな)かぼちゃ
岐阜県高山市丹生川地域で栽培されているかぼちゃで、1600年前に地方開発の先駆者として一生をかけた豪族「両面宿儺」から名前を取り、名付けられたかぼちゃである。
アトランティックジャイアント
巨大に成長するカボチャでその重量は1tを超えることもあります。
主に装飾用や家畜の飼料などに利用されています。人間も食すことはできますが、水分が多く味は薄い為食用に向いているとは言えません。
里川かぼちゃ
茨城県常陸太田市里川町の在来作物で地域特産野菜の一つ。皮がピンク色をしており食感はホクホクしています。
標高500m以上の高地で栽培されており非常に甘味があります。
ペポカボチャ品種
日本カボチャや西洋カボチャに比べると形や使用方法などユニークな使われ方をするペポカボチャで、日本では食用で使用する品種はごく一部です。園芸作物であったり、おもちゃかぼちゃと呼ばれるようなカボチャの品種です。
ハロウィンカボチャ
中型でオレンジ色のかぼちゃで名前の通りハロウィンの日にランタンとして使用するのにぴったりサイズのかぼちゃです。
スキャロープ(UFOカボチャ)
まるでUFOの様な円盤型が特徴です。若どりの為、手のひらサイズの小さいかぼちゃです。
白、黄色、オレンジなどの表皮をしているものがあります。食感、味はズッキーニとほぼ同じでUFOズッキーニとも呼ばれます。
金糸瓜(きんしうり)
そうめんかぼちゃや糸カボチャと呼ばれる事のあるカボチャです。
石川県能登の伝統野菜としても名を連ねる野菜で非常に繊維質な為、茹でた後に果肉がそうめんのようにほぐれることからそうめんかぼちゃや糸かぼちゃとも呼ばれる。
シャキシャキとした歯ごたえをしておりサラダや酢の物、炒め物などの料理に利用されます。
ロロン
タキイ種苗株式会社が育成し2009年に販売したかぼちゃでラグビーボールのような楕円形が特徴の新品種です。
名前の由来は育成者の「ロマン」と栗(マロン)のような甘さから取られたものです。非常にきめが細かくまろやかな食感を押しています。
甘龍(かんりゅう)
ナント種苗株式会社が育成した長さ50cm以上にもなるヘチマの様な形が特徴のかぼちゃです。西洋かぼちゃに分類され皮は薄く、非常に甘味も強くほくほくとした食感があります。
ミニズッキーニ
非常に小さく1本の長さが7cmから10cm程度のズッキーニです。食味は通常サイズのものと変わりません。
丸ズッキーニ
丸型サイズのズッキーニで大きさは品種にもよりますが、直径10cm以下くらいのものがほとんどです。味や食感は通常のズッキーニと何ら変わりはありません。中をくりぬいて使うなどして詰め物などにも利用できます。
ミニカボチャ品種
本来ミニカボチャという種はありません。『西洋カボチャ』『日本カボチャ』『ペポカボチャ』などの種の小さい品種を総称してミニカボチャと呼びます。
飲食店では小さい形を生かし中をくり抜き器にして使う、グラタンなどにすることが多いです。
その様な小さいカボチャの品種を紹介します。
坊ちゃんカボチャ
西洋カボチャの一種で滋賀県豊郷町名物のミニかぼちゃです。手のひらサイズのかぼちゃで、サイズを活かした料理などにも用いられます。
栗っプチ
サカタの種が育成したミニ栗かぼちゃで旧名は「栗坊」という名前でした。500g程度の重さで手のひらサイズのミニかぼちゃです。
プッティー二
サカタの種が育成し1998年に品種登録した西洋かぼちゃの一種でミニサイズの小さいかぼちゃです。
黄色い果皮をしており甘味も強く、見た目、味ともに料理映えするかぼちゃです。
おもちゃかぼちゃ
観賞用の小さいサイズのかぼちゃで色、形も様々。ハロウィンの飾り付けなどに主に用いられています。
どんぐりかぼちゃ
日本ではなじみはあまりないがアメリカではデモインスクワッシュとして出回るかぼちゃ。
手のひらサイズでどんぐりのような形をしている。アメリカではカットしてオーブン焼きにするのが定番。
テーブルクイーン
手のひらにちょうど収まるほどの小さなかぼちゃで色も白に近くておしゃれなかぼちゃ。
ヨーロッパではズッキーニに並んで人気の品種、肉詰めにして焼いたり、煮たりされます。
私、このテーブルクイーンは20代前半に出会いました。勉強のために月に一度、和食店に食事をしに行っていた時の事です、その時に『テーブルクイーン鴨鋳込み』という献立を見ました。料理を頂き帰ってきて調べて初めてカボチャと知りました。
中々衝撃の出会いでした、和食のコースの献立にカタカナでテーブルクイーンという言葉が入っていておしゃれだなぁーと感じ、料理の見た目もよく、さっぱりしていて非常に美味しかったのをよく覚えています。その後自分で献立を作れるようになった時に数度このテーブルクイーンは使用しています。