夏・野菜

里芋深堀知識

里芋とは古くから日本で食用とされてきた芋でタロ(食用とされるサトイモ科全般を言う)と言われる植物の地中にある茎にデンプンが蓄えられてできた物を指します。つまり里芋というのは植物の地下茎なのです。

里芋の基本情報

科属

サトイモ科サトイモ属

ズイキ:7月~10月上旬

石川早生:8月下旬ころから10月

土垂:9月下旬ころから12月

タケノコイモ、えび芋、セレベス:11月~2月ころ

産地

主産地は埼玉県、千葉県、宮崎県、鹿児島県などである。

生態・特徴

サトイモ科の一年草。別名タイモ、イエイモ、ハタケイモなど。

里芋は大きく4つに分類される

利用上から親芋用、子芋用、兼用に大別され、その他に葉柄用がある。親芋用は主として子芋の発達が悪く、親芋が利用され、肉質は粉質でよいとされる。兼用品種は親芋と子芋が利用できる。子芋用品種は親芋は利用できないが子芋のつきはいい。葉柄は赤茎や緑茎などがある。葉柄品種はえぐみが少なく、葉柄を利用する。

霜に弱いため、北海道を除いた地域で栽培されているが、主に関東、中部、九州地方に多い。日本では一般的に畑で育てるが奄美諸島以南では水田の様に水を張った甚水で育てている。日本は食用とされるタロイモ類のうちもっとも北方で栽培されている国である。

里芋は3~4月に種をまき、5月~9月にトンネル栽培で作られた南九種の早掘り里芋が出荷され、秋まで全国に出荷される。10月~12月に収穫された里芋は親芋と子芋に選別されて出荷するほか翌年まで出荷できるように畑の中に貯蔵して1月から順次掘り出して春先まで出荷されます。これにより日本ではほぼ周年里芋が食べることができます。里芋の生育適温は25~30℃で多日照と高温多湿を必要とする。

里芋独特のぬめり成分とは

里芋には独特のぬめりがありますがこれには「ムチン」と「ガラクタン」と呼ばれる成分が含まれています。ムチンには胃の粘膜を保護して胃腸の機能を助ける働きがあり、ガラクタンには血糖値たコレステロールの上昇を抑える効果があるとされています。

里芋の栄養価

里芋は水分が非常に多く、ほかの芋に比べカロリーが少なくヘルシーなのが里芋の特徴です。その他ミネラル分も多く含みます。また血圧低下や骨密度の増加に効果があるとされるカリウムは芋類の中でトップクラスに多いです。またビタミンB₆にはアミノ酸代謝や神経伝達物質の生成等に関与します。

100g当たりの栄養素

水煮(冷凍物)

エネルギー 59kcal(72kcal)

脂質 10mg(10mg)

カリウム 560mg(340mg)

マグネシウム 17mg(20mg)

ビタミンB₆ 0.14mg(0.14mg)

亜鉛 0.3mg (0.4mg)

里芋の皮を剥いてある便利な冷凍の物も随分と普及していますが、水煮にしたものと比べ里芋に多分に含まれるカリウムが損なわれてしまいます。またヘルシーさが特徴の野菜ですが、冷凍の物はわずかではありますがカロリーが高くなります。

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里芋の種類

里芋は細かい品種にすると数多く存在しますが種類に分けると15種類33系統あるといわれておりそれぞれに特徴があります。

品種群15種

えぐいも・・・関西土垂、紀州いも、花いもとも呼ばれる寒さや乾燥に強いく多収性である。国内にある弘法大師の石芋伝説は「えぐいも」が半野生化したもの。

蓮葉・・・葉が蓮の葉の様に上を向くからその名があり、早生蓮葉、女早生などがこれに当たる。

土垂・・・大野在来、帛乙女、大和早生、ちば丸などがこれに当たる。葉っぱがたれるのでこう呼ばれる。

石川早生・・・大阪府石川村(現河南町)付近で発祥とされ、黒軸からの変異品種だといわれている。仲秋の名月に使われる「きぬかつぎ」になる。

黒軸・・・葉柄(軸)が黒紫色していて丸くなる品種。岩手の双子いもなどがある。

唐いも(とうのいも)・・・えびいも、山形のからとりいもなどがこれに当たり、そのうちえびいもは唐いもの子芋の肥大のいいものを選抜して栽培したものをいう。

やつがしら・・・唐いもと近縁とされる。親芋と子芋が分裂せず塊状になる。一つの種が八方に突き出していることからこの名がある。

赤芽・・・芽の部分が赤いことからことからこの名前がある。戦前は国内でもたくさん作られていた。

たけのこいも・・・京いもとして宮崎で多く生産されている。子いもや孫いもは太らないので食べるのに向かない

びんろうしん・・・台湾、香港などで栽培。親芋を食べる。断面委赤紫色の斑点があり「びんろうじゅ」というヤシの木の実に出る模様と似ているので「びんろうしん」と呼ばれる

この他しょうがいも、みがしき、溝いも、沖縄青茎、はすいもがあります。

里芋の食用部位別主要品種

里芋には親芋だけを主に食用とする親芋用品種、また子芋だけを食用とする子芋用品種、その両方とも食用に出来る兼用品種、そして茎の部分だけを食用とする芋茎(ズイキ)とよばれるものに大きく分けられます。それぞれ形状や大きさなどが異なりますが、どれも同じ里芋の仲間として市場に出回っています。親芋品種の子芋、子芋品種の親芋は出回らないだけで食べれないわけではありません。

子芋用品種

子芋だけを食べる品種を指し、一般に冷凍食品で里芋と書かれているものも子芋用が用いられます。

石川早生

主に7~8月に出回る小ぶりな品種。淡泊な味で仲秋の名月に使われるきぬかつぎになる品種。大阪府の南河内郡石川村(現河南町)が発祥地なのでこの名がついたといわれている。

土垂

里芋の一般的な品種として知られ、保存性が良いため周年出荷されている品種です。全国的に栽培されており特に関東で多く生産されています。この品種から多くの地方品種も開発されています。

里芋の子芋用品種8種里芋はその芋の付き方、食する部位から一般的に子芋用、親芋用、兼用という3種に分類されます。里芋は本来茎の部分に当たり茎にデンプンが蓄えられてできたのが親芋と言われる部分で親芋から出てくるのが子芋です。小芋だけを食するタイプ、子芋用品種についてご紹介したいと思います。...

親子兼用品種

親芋、子芋共に食することができる品種でその形状などは様々です。

セレベス(大吉、または赤芽大吉、赤芽芋とも呼ばれる)

インドネシアセレベス島(現在のスラウェシ島)から伝来したことが由来。土垂よりもやや長く皮肌の一部が赤いのが特徴 ホクホクした食感薄味の煮物に向く。

八ツ頭(やつがしら)

親イモと子芋が分裂せず塊状になる。一つの種が八方に突き出ていることからこの名がある。末広がりの八とこれを食べると人の頭に立てるということからおせちに使われる。ほっこりしている。

海老芋(唐いも)

関西で知れ渡る京野菜の一種。煮物や揚げ物に向き、肉質は柔らかく煮崩れしにくい、粘り気があり風味も良いのが特徴である。唐芋を土寄せを繰り返し海老の形に曲げたのが海老芋となる。関西でよく知られているが、生産量トップは静岡県である。

里芋の親芋、子芋兼用品種11種里芋はその芋の付き方、食する部位から一般的に子芋用、親芋用、兼用という3種に分類されます。里芋は本来茎の部分に当たり茎にデンプンが蓄えられてできたのが親芋と言われる部分で親芋から出てくるのが子芋です。その中で親芋、子芋どちらもおいしく食べれる親芋、子芋兼用品種を御紹介していきたいと思います。...

親芋用品種

大きく成長した親芋だけを食用とする品種、子芋の着生が少なく子芋は食用にしない品種。

京芋、たけのこいも

地上に頭を出している形がたけのこに似た円筒形をしているためたけのこ芋とも呼ばれる。根が長く煮崩れしにくいのが特徴。子芋の着生が少なく親イモが成長して食用になる。長いもは60cm以上になることもあり、また重さも1kgを超えることもある。主産地は宮崎県である。

里芋の親芋用品種3種里芋はその芋の付き方、食する部位から一般的に子芋用、親芋用、兼用という3種に分類されます。里芋は本来茎の部分に当たり茎にデンプンが蓄えられてできたのが親芋と言われる部分で親芋から出てくるのが子芋です。その中で親芋部分を主として食べる親芋用品種を御紹介したいと思います。...

葉柄を食べる芋茎(ズイキ)

芋茎とは里芋の葉柄(ようへい)を食用とした物で芋は食べません。また一般の里芋ではなく主に芋茎専用の里芋品種からとられることが多く「ハスイモ」などがそれにあたります。

芋茎には赤、緑、軟白栽培の白、芽芋などがあり一般の里芋とは違い、酢の物やサラダ、和え物などに主に調理される。「いもじ」などの別名、地方名がある。その他に芋茎を乾燥させたものはいもがらという。

里芋を使った主な料理

煮っころがし

里芋を鍋の中で煮汁がなくなるまで転がしながら煮詰めたもので里芋の伝統料理の一つとされる。

芋棒

京都の伝統野菜である海老芋と北海道の棒鱈(真鱈を干した物)を一緒に炊き上げる料理であり京都の伝統料理である。

のっぺい汁

全国各地に伝わる郷土料理の一つで作り方は各地域により多少異なるが、里芋と様々な野菜とを煮て、片栗粉でとろみをつけた汁物である。

おせちなどにおける里芋の利用について

お節料理で里芋をよく目にしますがそれぞれに意味合いがあり縁起物として扱われます。例えば頭芋・殿芋(親芋の中で大きい物)は「人の上に立てるように」という意味合いなどを含め男性に取り分けたり、子芋は子孫繁栄を表しているので女性に取り分けたりします。丸い形をした里芋は「家庭円満」を表すなどしています。また八ツ頭もおせちに使われることもありますが、八方に広がっていることから末広がりの八が意味合いに含まれています。

里芋の選び方と保存方法

里芋の選び方

おしりが固く締まり(柔らかいものは腐っているため)、縞模様がはっきりとしていて等間隔のものがよい。また里芋は乾燥に弱くひび割れているものなどは選ばないようにしましょう。泥付きの方が保存に向いているため店頭で購入する際は泥付きを選ぶとよいです。また洗ってあるものはなるべく早く使うようにしましょう。色が黒ずんでいるものも鮮度が落ちている証拠です。

里芋の保存方法

里芋は乾燥と寒さ弱いため基本的に新聞紙に包んで冷暗所に保存します。ただし泥がついていないものに限り新聞紙にくるみ冷蔵庫に保存します。また湿り気が強すぎるものは天日で干してから保存するようにしましょう。

購入した泥付きの里芋を土の中30~40cmの深さに埋蔵すれば長期の保存が可能になります。自宅に庭がある方は試してみてください。

里芋の冷凍保存

里芋はあまり日持ちしない野菜ですので余ってしまった場合や多くて使いきれない場合などは冷凍しておくとよいでしょう。

生のまま冷凍する方法

生のまま冷凍する際はよく洗って、半日天日干ししてから皮を剥き塩もみしてぬめりを落としさっと水洗いをして、水気を切ってからそのまま広げて冷凍します。

皮を剥いてから茹でて冷凍する方法

皮を剥き半茹でしてアクを取り、流水にさらして水気をしっかりと切って冷凍します。

茹でてから皮を剥いて冷凍する方法

皮を見ていない状態で半茹で(レンジも可)して水にさらし皮を剥き冷凍します。ただこの場合アクが抜け切れていないので使用する際にはもう一度ゆでるなどして、しっかりとアクを抜くことが必要です。

里芋の歴史

インド東部からインドシナ半島の熱帯地域が発祥と言われています。そこから幾つかの形で分化して様々な地域や国へと伝わりました。

日本へはいくつかのルート、そして何度かに渡り伝わったとされており、元々の原産の芋(親芋)が黒潮海流のルートで日本へ伝来、また原産地から分化した子芋は中国に渡り、中国南部の雲南地方などから南島ルートで日本へと伝わったと考えられております。その歴史は古く、紀元前2500年頃の縄文時代の中頃には栽培が始まり、やがて山で獲っていた山芋と区別して里芋と呼ばれるようになりました。

平安時代中期の辞典「倭名類聚抄(わみゅうるいじゅしょう)」には里芋の葉柄(ようへい)とともに食用になる事が記されている他「延喜式(えんぎしき)」という法典には栽培方法も記されています。また万葉集でも歌に詠まれるなどその当時にはすでにポピュラーな野菜の一つだったとして考えられます。

江戸時代までは日本で芋と言えば里芋を指していましたが、海外からサツマイモやじゃがいもの導入により芋が必ずしも里芋とは言えなくなりました。

海外では、地中海沿岸諸国で古代から食用として栽培されており、古代ローマの料理書「アピーキウス」には全6種類のコロンカシア(サトイモ科)の料理法が記されていて、キプロス島やエジプトなどではサトイモは伝統的な食品として多くの料理法が今日までに伝わっています。ヨーロッパなどではぬめりが好まれないため揚げたり、ぬめりを取るためにレモン汁を使いぬめりを落として食べる他、観賞用としても用いられています。

里芋栽培の手順

里芋の栽培は比較的容易とされており家庭菜園でも栽培できる野菜です。水田などの湿潤な土壌で多日照で温暖な場所が栽培に適しています。

1.種芋を準備する

里芋を栽培する際に必要な種芋は種上店やホームセンター、通販などで購入できます。

ふっくらとして形が良く芽が傷んでいないものを選びましょう。近年では種類も豊富にあるので自分が食べたいと思う物を選ぶとよいでしょう。

2.土づくり

里芋は粘土質の土壌を好む作物ですが、あまりに水はけが悪すぎると病気の原因になりますのである程度の排水性を保つことが重要です。堆肥と原肥を入れて十分に耕して45cm間隔で畝を立てます。畝の高さは10~15cm程にします。

3.種まき

種芋が手に入ったら種まきをしていくのですが、種まきには2通りの種まきの仕方があります。一つはそのまま直接種を畑に植える直まきという方法と、もう一つはプランターなどで先に、芽を出す催芽という方法をとってから畑に植える方法です。直まきと先に芽を出す催芽をしたものでは植える時期が変わってきます。

地域や品種などにより多少違いはありますが、直まきする際は4月上旬~中旬に合わせて種まきを行います。先に目を出してから種付けする際は3月中旬頃に催芽を行い、芽が出たものを5月上旬くらいに畑に植えるくらいがいいです。

一つずつにばらした種芋を芽を上にして10cm位の深さに植え付けます。

催芽の方法

催芽とは種を植える前に種芋の芽を出しておくことを言います。これは里芋の種芋をそのまま植えてもなかなか発芽しないからです。芽を出していないことで発芽せず腐ってしまう芋を防いだり、生育する時間が増えることで太った芋に成長しやすくなるというメリットがあります。催芽は種芋をプランターなどに移し替えて仮植えし、芽が出るまで育てます。土が乾いたら湿らす程度に水をやるというのが目安です。

芽かき

芽が成長してきたら株の周りに出たわき芽(子芋の芽)は早いうちにかき取るようにしましょう。これをだしたままにすると質の悪い芋に成長してしまうので、かき取るか土寄せして埋めるようにしましょう。

4.追肥と土寄せ

里芋は植え付け後から収穫までに2回以上追肥を行います。目安としては1度目は5月下旬~6月中旬くらいに行います。株本から少し離れた場所に巻き、肥料を混ぜるように耕ししっかりと土寄せを行います。2度目は6月中旬~7月中旬を目安に行います。1度目と同じように巻いて土寄せを行います。その後は1か月に一回程度土寄せを行うようにしましょう。また日々たっぷりと水を上げることも忘れずに。

害虫駆除と予防

里芋を生育させるには害虫の駆除が必要とされます。葉っぱなどに害虫がついている際は見つけ次第駆除すること、また害虫予防として株本に敷きわらをするかマルチシートを張るかして予防しましょう。マルチシートを張る際にはシートに水たまりができないように注意しましょう。

5.収穫

しっかりと里芋が生長したら収穫しましょう。催芽させたものは8月末~9月下旬、直植えは10月上旬~11月中旬が収穫の時期となります。子芋が肥大したころに行います。葉が枯れ始めたら収穫の適期となります。収穫は霜が降りる前に終わらせましょう。

地上に出ている部分を地ぎわで刈りとり、芋を傷つけないように注意して掘り返します。収穫したら親芋と子芋に分けて土と根を落とします。収穫したものは土のついたまま新聞紙に包んで常温で保存します。