冬・魚

鮟鱇(あんこう)料理と鮟鱇基本情報

鮟鱇料理

板前を初めて一年目の冬、衝撃でした。鮟鱇という魚に出会いました。これは魚か??と思いました。一年目の私は触ることなどできず先輩が吊るして卸している様子を自分の仕事をしながら横目で見ていました。

なんとも不気味で、その吊るされた姿も他の魚を卸す時と違うので怖いもの見たさの様な感じで興味深々でした。姿形だけでなく味にも驚きました。味見程度に賄に唐揚げがでてきて食べてみたら。あらっ美味しい。あの顔でこの味・・・ギャップがすげーと思ったのをよく覚えています。

鮟鱇料理は冬場によく使われる。冬場の献立に入れてみたり、鮟鱇コースとして提供されている。

鮟鱇基本情報

アンコウ科の海水魚で深海に住む。

アンコウの仲間は世界に160種以上いるが、一般的にアンコウという場合『ほんあんこう』と『くつあんこう』を指し、市場では区別されずに扱われている。

ほんあんこう、くつあんこうとも、頭が大きく幅広で、強く縦扁した形。海底にじっとしている事が多く、背びれの前部に並ぶ、とげのうち釣り竿の様な形をした長い棘条(俗にちょうちんという)を動かして小魚を誘って食べる習性をもつ。2種とも味に大差は無く、ともに肝臓が珍重され、肝臓の大きさで値段が決まるアンコウの大きさは1キロ~20キロ程でまちまだがち7キロ~8キロの物が美味しく単価も高い。

近年では、肝臓の缶詰の輸入品(スペイン産)が出回っているが、これは別種の『にしあんこう』の肝臓。

くつあんこうは全長1mほどになり、ほんあんこうより頭部の割合が大きい。体色は暗灰色で、口の中は黒白の網目模様があり、腹びれも黒い。北海道以南、インド洋、オーストラリア東部、カリフォルニアにまで分布する。

『みずあんこう』と呼ばれるのは、ほんあんこうの雌で、巨大な卵を腹の中に持つため、こう呼ばれる。

鮟鱇の価値は肝で決まると言ってもいい程、肝が大事。肝はビタミンA、DHAなどの栄養素もたっぷり入っている。

鮟鱇の旬

冬場 9月~4月に出回る

鮟鱇の産地

北海道以南、朝鮮半島南部、東シナ海に分布し、大陸棚上にすむ。東京市場には常磐、銚子以西のものが多く入荷。常磐、特に平潟あたりのものが上物とされる。

名前の由来

  1. 暗愚魚(あんぐお)のろまという意味。
  2. アンゴオ。(ヒキガエルのこと)転じた説
  3. 体色から赤魚が転じた説
  4. 海底から動かない『安居』を由来とする説

など諸説ある。

アンコウの待ち喰いという言葉もあるほどだから、①、④が私の中では有力なのではないかと勝手に思っている。カエルと言われるとカエルを連想できなくもないが少々気持ち悪いのでこの説ではないと願っている。

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鮟鱇7つ道具

  • 肝・・・肝臓。あん肝と呼ばれるアンコウの中でもっとも価値の有る部位
  • 皮・・・コラーゲン豊富
  • 水袋・・・胃袋
  • ヌノ・・・卵巣のことで別名ふんどしともいう
  • エラ・・・他の魚だと食さないエラ。生臭さはある
  • ヒレ・・・トモと呼ぶ場合もある
  • 身・・・だい身、柳身とも呼ぶ

骨、歯、目、腸以外は全部食べれる。(目、腸は食べようと思えば食べれるようだ。)

鮟鱇料理・調理法

アンコウは身が柔らかく、水分が多くブヨブヨしていて、しかも表面のぬめりが強い。その為まな板に上においても安定せず捌きづらい。その為考案されたのが、アンコウを吊るして体内に水を入れ、回転させながら捌いていく方法『吊るし切り』という伝統的な解体方法。水の重みで安定させ捌いていく。大型の物は吊るし切りで捌いた方が良いが。小型のものはまな板の上で捌いた方が速い。吊るし切りはパフォーマンス的に使っている店舗もある。

鮟鱇のどぶ汁(鍋)

一般的には昆布出汁で作り味噌をといて仕上げる。しかし!元祖漁師どぶ汁は少々違っていて、鍋に肝を入れて、から炒りして、そこに大根を適当な大きさに切って放り込みます。次にアンコウを捌いた7つ道具全ていれて、大根に火が通ったら味噌を加えて完成となります。水や酒を一切使わずに、アンコウと大根の水分だけで作ります。

これは昔アンコウが外道として扱われていた時代のものですね。水を使うのさえもったいないと考えられていたのでしょうか。今の時代アンコウ高価ですから漁師さんもこんな豪華な料理を船の上で食べているとは考えずらいですね。

綺麗に作った鍋料理もいいと思いますが時にはこの様な、荒々しく、食材の旨味だけで作ったようなものも献立に使ってみるのも面白いと思います。(好き嫌いはあると思いますが)

あん肝(酢の物)

鮟鱇は調理しないけど、あん肝は作ると言った店舗も多いのではないでしょうか。

冬になれば必ずと言っていい程献立に入るか単品料理として提供する料理です。

  1. 捌いて肝を取り出したら、水で汚れを取り落とし4%の立て塩に3時間浸す
  2. 立て塩の中で大きな血管を取り除く(包丁で傷をつけ絞り出したり、骨当たりでとったり)
  3. 立て塩から出したら臭みが出ないよう酒で洗う
  4. きちんと接合するように、同じ様な大きさに切る
  5. ラップの上に肝をのせ、丸く包みラップの両端を持ちクルクル転がすと綺麗な丸になります。ソーセージ状にする
  6. ラップの中に空気が入っている所があるので串でプッチと穴をあける
  7. ラップの上からアルミホイルを巻く。きつく巻きましょう
  8. 大きさにもよるが20分ほど蒸す。
  9. 粗熱をとり冷蔵庫にいれ完全にさましす。温かいとカットできません
  10. カットして提供。蛇腹胡瓜、ワカメ、赤卸し、ポン酢

ポン酢は合わせ酢のページにありますのでそちらをご覧ください。

供酢和え(酢の物)

  1. 肝を下処理(上記①~③)
  2. 肝をから炒りしてほぐす
  3. すり鉢で肝、砂糖、味噌、酢で当たりをつける
  4. アンコウの身と皮を食べやすい大きさに切って茹でる
  5. ③と④を和えて提供。天には青ネギ、柚子などが良い

辛子酢味噌と肝を合わせてもできます。

上記作り方とは少々違いますが、あん肝が余った際にこの供酢和えに活用したりします。鮟鱇の身を使っているから供酢和えとなりますが、鯛やヒラメなどの白身の魚にもよく合う和え衣となってます。

鮟鱇のから揚げ(揚げ物)

  1. アンコウの身を一口大に切る
  2. 濃口1・酒2、おろし生姜を混ぜた調味液をつくる
  3. 調味液にアンコウの身を20分ほど漬けて
  4. 片栗をまぶし、180℃位の油で揚げる

塩、レモンを添えて。

献立お役立て!

アンコウ・・・なんとも不細工な魚ですね。10代の頃初めて出会った日、先輩が捌いている姿を見たときの衝撃は今でも忘れません。

あん肝が一番多く利用されると思います。このあん肝はそんなに日持ちしないです。余ってしまったこともあるのではないでしょうか。そんな時はあん肝を裏漉して肝酢を作っておきます。肝酢にした方が持ちますし。他の白身魚と和えて『〇〇あん肝酢和え』などにして小鉢に利用できます。酢を入れないで作成して、あん肝豆腐をつくって前菜や松花堂などに利用することもできます。

そんなにアレンジできる食材ではないと思いますが、冬の献立に入っていると目を引くでしょう。西のフグ東のアンコウと言われるほどですからね。

今回は紹介しなかったですが鮟鱇鍋も絶品です。