しし唐、青トなどと言い、和食屋さんでは絶対と言っていい程年中使用しているのではないでしょうか。少々高級にはなりますが甘長や万願寺と言ったものも使われるのではないでしょうか。これらは全て甘唐辛子の一種です。
甘唐辛子の品種は数多くありますが、使用頻度の多いであろうものを選別して取り上げていきたいと思います。
万願寺などは緑と赤いものがあり、赤万願寺などと名称を変えますが、品種の違いはなく収穫の時期を遅らせ完熟させたものが赤くなります。
甘唐辛子基本情報
ナス科トウガラシ属の
獅子唐や甘長など甘い唐辛子の一種で、今回はこの甘い唐辛子、甘唐辛子を紹介していきます。甘唐辛子の一種にピーマンやパプリカなどがありますが、他のページでご紹介いたします。
唐辛子類の甘味種という分け方は甘いという意味ではなく、辛みが少ないものをいう。ただ時々ピリッと辛い物が入っているが、外見からは区別しにくい
甘唐辛子の旬
ハウス栽培のものなどが通年で回る。
路地物の甘唐辛子の旬は夏
甘唐辛子有名品種
- 獅子(しし)唐辛子
- 伏見甘長唐辛子
- 万願寺唐辛子
- 山科唐辛子
などなどありますがいくつかもう少し詳しく紹介します。
獅子唐辛子
お店によって少し呼び名を変えるかも知れませんが、青トやしし唐などど呼ばれ使用しているものです。パックで売られています。ヘタを取り穴を開けて使います。穴を開けないと火を入れた時に種が破裂します。
果肉は薄く小さい。
獅子唐の名前の由来ですが
- 先端が獅子の鼻の先に似ている事からついた
- 獅子唐辛子のデコボコ感が獅子の顔をイメージさせるから
などがあるようです。
関係のない話ですが、古来日本ではイノシシやシカの事を『しし』と言ったそうです。
獅子唐辛子の主な産地
高知県が一大産地。皆さんが使っているものは大体高知産なのではないでしょうか。気になり市場で見て回っても高知産ばかりです。
【2018年 獅子唐辛子収穫量】
- 高知県 2900t
- 千葉県 1010t
- 和歌山県 357t
伏見甘長唐辛子
関西地方で親しまれている甘味種の唐辛子だが獅子唐に比べる多少辛みのあるものもある。表面の緑やや濃く、細長いく長さ10cm~15cmほどでスラっとした形が特徴的で鮮やかな緑色。
伏見甘長唐辛子は江戸時代、京都の伏見地区で栽培されてきた唐辛子甘味種の一種。京の伝統野菜のひとつ。独特な風味と甘さがある。
別名『伏見甘』『甘長』とも呼ばれる。かつては伏見地区で作られていたので名前に伏見の名前が入っているが、現在では丹波地区で数多く作られている。
甘長唐辛子にはいくつかの品種があり、京都伏見唐辛子の系統のものや万願寺唐辛子の系統も開発され、各地で栽培されている。そのいずれも『甘長唐辛子』として販売されている。岐阜で作られた、伏見甘長唐辛子は『甘長ピーマン』という商品名で販売されている。
万願寺唐辛子
万願寺唐辛子は唐辛子甘味種の一種で、京都舞鶴市の万願寺地区で生まれた『ブランド京野菜』一つ。
大正末期に貿易港として栄えていた舞鶴で、従来から京都で栽培されていた在来種の伏見唐辛子と、カリフォルニア・ワンダーというピーマンが交配して出来たとされる。
ピーマンの品種との交配種なので、その果肉は大きくて、厚みがある、ピーマンと肉質が似ていて、同じように種も少なく食べやすい。違いは形、唐辛子らしく細長い。そして肩の部分がくびれているのが大きな特徴。柔らかく、ほんのり甘みもあり、青臭みも少ない。大きさから、唐辛子の大様とも呼ばれることもある。
赤万願寺唐辛子は万願寺唐辛子の収穫を遅らせたもので、手間が掛かる分値段も少し高い。
甘唐辛子料理・調理法
家庭では大き目の獅子唐で炒め物なども良いと思う。私は大き目の獅子唐を見つけるとマーボーナスに入れてみたりする。写真はピーマンでなく獅子唐。非常に美味しい
獅子唐辛子の天ぷら(揚げ物)
本的に獅子唐だけでは天ぷらで提供することは無く、色々な食材と合わせて提供することが基本。
先端を手で取り、楊枝や金串などで穴をあけて、天衣をつけて160℃位の油で揚げる。
獅子唐の肉詰め(前菜)
獅子唐に縦に切れ込みを入れ中を取り除き。そこに味噌などで味付けした鶏ひき肉をいれる。
フライパンで焼く。
簡単だが使い勝手が良い。お弁当の一品などにもなる。
献立お役立て
基本わき役になる獅子唐等だが使用頻度も高い食材。
肉詰めと分かりやすく記載したが、『獅子唐の若鳥鋳込み』等にすれば献立も見栄えが良い今回は鶏の肉を詰めたが海老真丈やホタテ真丈等でも美味しくできる。
使用頻度が高いため、どうしても余ってしまう、穴を開けたところが黒くなってしまって提供できない事ももあるだろう。そんな時私がよくやっていたのが『醤油漬け』だ。素揚げした獅子唐をあらかじめ作っておいた、割醤油にいれておくだけ。割醤油は、煮切り味醂1,5酒、1、醤油1、味の素少々。使用方法としては、賄いになってしまうのだが刻んで、豆腐に乗せて、納豆にいれて、チャーハンの具材として・・・・色々と使える一つだ。
思い出深いのが若い時、賄の当番だった私は獅子唐の醤油漬けを使り、豆腐のハンバーグの隠し味として使った。その頃のおやじ(料理長)が非常に喜んで食べてくれ褒められた事をよく覚えている。