野菜

地域別なす品種 中部地方

なすは世界で1000種類以上の品種があると言われています。

日本でも様々な品種改良などが行われより優れた品種が多数あります。中でもその土地にあった条件で育った上質のなすはブランド品種になっている他、地域の特産品として愛されています。この記事ではそんな地域の特産品であるなすの品種を分かりやすく説明いたしております。

なすのブランド、又は伝統的な品種 中部編

新潟県のなす

長岡巾着なす(中島巾着なす)

新潟県長岡市の中島地区で明治44年頃から栽培され、長岡野菜に指定されている巾着型のなすです。果肉は硬めで煮崩れしにくくアクが強いのが特徴です。地元では蒸かしなすとしてよく食されているほか、味噌漬けやカス漬けなどにも用いられます。蒸かしなすは刺身のような食感とその美味しさから「畑のトロ」とも呼ばれています。

もともとは中島巾着なすというのが正しい名前ですが、長岡野菜のブランド化戦略の為に長岡巾着なすに変名をしました。ただ伝統的に作られてきた中島巾着なすと現在の長岡巾着なすとでは相違があるという指摘が本来の中島巾着なすを栽培してきた農家の方々の間であります。

十全なす、黒十全(梨なす)、新潟黒十全

泉州水なす系のなす(大阪の泉州なすがルーツと言われています)で昭和の初めに中蒲原の十全村(現五泉市)で栽培したのが始まりです。十全なすには長岡大島地区に導入された梨なすとも呼ばれる黒十全が存在します。形状は小ぶりな巾着型をしており皮が薄く、どちらも緻密な肉質であるが柔らかくほのかな甘みと水分量が多いのが特徴です。浅めの浅漬けにすると美味とされています。このほかにF1と呼ばれる黒十全と別の茄子の1代交配品種の新潟黒十全なすがあります。こちらも浅漬けにすると美味とされています。

現在では一般に販売されている十全なすのほとんどがF1品種の黒十全なすである。本来の十全なすは白十全なすや本十全なすと呼ばれるようになり、生産量の少なさから幻のなすとして料亭などで高級品として使用されるものの、一般に出回ることは少なくなっている。

やきなす

やきなすは新潟市北区(旧豊栄市木崎)で栽培されている門外不出のブランド品種でありその大きさは県内最大級を誇っているなすです。昭和30年代に豊栄地区の農家が「えんぴつなす」の大型のなすだけを残して選抜していったのがやきなすの始まりと言われています。一般的な中長茄子と比べておよそ3倍くらいの大きさがあり最大で30cm、重さは300gにも及びます。その名の通り焼きなすとして食べられるように品種改良されたものです。皮は薄く実も柔らかいのが特徴で、焼くことで実がしまりジューシーな味わいを楽しむことができます。門外不出のブランドなすでこの地域でしか栽培はされておらず一般に手に入れることは困難です。一般的ななすと違い6~7月が一番おいしいそうです。

深雪なす

深雪なすは新潟県魚沼市薮神地区で古くから栽培されてきたなすで、魚沼推奨ブランドに認定されています。十全なすの優良品を30年に渡り選抜し確立したのが深雪なすで現在18名の農家しか栽培していません。小ぶりでな長卵形で甘みが強く肉質は緻密、皮と実が非常に柔らかいなすで古くから漬物に使われてきました。またアクが少ないのも特徴で鮮度がいいものは生のままでも食べることができますし、炒めたり煮物にしてもおいしくいただけます。

越の丸茄子

糸魚川市で栽培されているブランド野菜の一つ、新潟県園芸試験場で開発された丸茄子で直径は10cm程度、色が濃く光沢があります。大きいもので300gにもなります。実は締まっていて煮崩れしにくく強い甘味を感じます。油との相性が良く炒め物や焼きナスなどに向いています。東京では料亭などに出荷されており「なすの大トロ」とも呼ばれています。丸なすジャムや丸なすマドレーヌなどの加工食品も生まれています。

魚沼巾着なす

魚沼巾着なすは新潟県城内村(現南魚沼市)の篤農家である栗田忠七氏が、明治時代に和歌山から持ち帰った早生なすと在来の丸なすを交配してつくられた品種です。その名の通り巾着型をしており、実は締まり歯ごたえがあります。主に味噌漬けとして食べられますが、新潟の家庭の味である蒸かしなすや、炒め物や焼きナスなどにもよく合います。栽培は難しく手間がかかるため数件の農家でしか栽培されておらず生産量は少ない品種です。

えんぴつなす

新潟県白根市で栽培されるえんぴつなすは細長く実の先がとがっていることからこの名が付きました。昭和10年代に栽培が始まり、宮崎県の佐土原なすがそのルーツと言われています。皮や果肉は柔らかく、地元では30グラム程度の内に収穫したものを浅漬けにし、大きくしたものを焼き茄子や蒸かしなすで食べます。

上越丸えんぴつなす

上越丸えんぴつなすは上越市の山間部で70年以上前から栽培されてきた歴史ある茄子で上越地域でしか栽培されていないなすです。2017年8月の野菜ソムリエサミットでは金賞を受賞しています。この品種は鉛筆の様に細長いわけではなく先端の方がとがっていることからこう呼ばれてます。大きめのなすで直径約8cmと太い。果肉は柔らかく、甘くてアクが少ないのが特徴で焼いても煮てもおいしくいただける万能性があります。

越後白なす

新潟市の西蒲区の岩室から弥彦村にかけて昭和初期から代々受け継がれてきた伝統のブランドなすです。長卵形で色は真っ白。皮が硬く果肉は緻密で甘みが強く加熱するとトロっとした食感になります。田楽や焼きナス、炒め物などの他色を生かして白いシチューなどとも合いますが漬物には向いていません。栽培が難しく幻の白なすとも言われています。また色が真っ白の為、なすの紫色素の一つである有用成分ナスニンが全く含まれていません。

石川県のなす

ヘタムラサキナス

加賀野菜にも認定されているなすで小ぶりななすで長卵形をしています。明治22年(1889年)頃、有松、泉地区で栽培されていた「小木」と呼ばれる系統がルーツと言われています。皮が薄く柔らかくて甘みがあるのが特徴です。漬物や煮物似合う他、郷土料理のなすそうめんなどにも用います。

福井県のなす

吉川なす

福井県鯖江市の西部中央に位置するかつて吉川村と呼ばれた地域で古くから栽培されてきた丸茄子でその歴史は1000年以上とも言われています。重さ300グラムほどで直径10cm程の丸いなすで表面には艶があります。そのきれいな見た目か「黒い宝石」と称されています。皮が薄く実が詰まっていて煮崩れしにくいのが特徴で田楽や煮物などに合うとされる。京都の加茂茄子とは類縁関係にあり、一説には吉川ナスが京都に伝わりその後加茂茄子としたという説もあります。

栽培が非常に困難なため一時期は栽培農家が一軒となり消滅の危機を迎えたが、市と農家有志による「伝統野菜等栽培研究会」により復活し、現在も栽培されています。

山梨県のなす

大塚なす

市川三郷町で栽培されているなすです。栽培方法が変わっており、田んぼで栽培しています、田んぼで育てることにより豊富な水をなすに与えることができおいしいなすができるのだそうです。中長茄子系のなすは実が柔らかくジューシーな食感を味わえます。様々な料理に合う万能性があるなすです。

長野県のなす

ていざなす

明治20年(1887年)ごろから長野県伊那郡天龍村南部の神原地区にて栽培が開始されたなすで信州の伝統野菜の一つとして選定されています。大きいものは30cm、重さ500gほどになるなすで、果肉は柔らかくかねつするとトロトロになります。成熟すると皮が金色に見えることから「黄金の茄子」とも称されることがあります。焼き茄子や田楽などにされ食されるが漬物には向いていない。

栽培を始めたのは田井沢久吉氏という人物でその名前を取り「田井沢なす」と名付けられましたがそれが訛りいつしか「ていざなす」となりそのまま定着してしまったそうです。

小布施町丸茄子

明治時代より小布施町の山王島という地域で栽培が始まり大正時代には小布施町内で30件を数えるまで栽培が広まった。かつては「晩成丸茄」とも呼ばれていた。丸なすだがやや扁平型の巾着型をしている。肉質はしまっていて煮崩れしにくい長野県の郷土料理であるおやきにもよく合う。

静岡県のなす

折戸なす

静岡県清水区の伝統野菜で明治以降に栽培が途絶えていた品種だが復活を遂げ2007年から出荷されています。かつては徳川家康に献上していたという記録も残っています。 丸い形をしており棘が鋭く濃厚な味わいが特徴

「一富士、二鷹、三茄子」の茄子はこの折戸なすと言われている。

愛知県のなす

愛知本長茄子

昭和10年頃より尾張地方北部あま市美和地区を中心に栽培されてきた品種。長さ20cm程の食味のいい品種です。「あいちの伝統野菜」になっているが現在その栽培数は少なく幻のなすになっている。

奥三河天狗なす

愛知県設楽町津具地区を中心に栽培されています。一般的なナスより栽培に手間がかかりますがその美味しさから現在も栽培されている品種で、「あいちの伝統野菜」(天狗なすで認定)にも名を連ねています。名前の由来はまれに天狗の鼻のような突起が出ることから名付けられました。一般的なナスに比べて大きく400~600gほどの大きさにまで成長しきれいな翡翠色の実を付けます。熱を加えるととろけるような食感になりなすの大トロとも称されるなすです。

とげなし美茄子(とげなし輝楽)

愛知県農業試験場が育成し愛知県西三河地区で栽培されているへたにとげのない画期的な品種です。これによりなす同士が気づけ合うことなくきれいな状態で出荷できます。甘味が強く日持ちがいいなすです。油との相性が良く揚げ物や炒め物に最適です。