野菜

地域別なす品種 東北・関東地方

なすは世界で1000種類以上の品種があると言われています。

日本でも様々な品種改良などが行われより優れた品種が多数あります。中でもその土地にあった条件で育った上質のなすはブランド品種になっている他、地域の特産品として愛されています。この記事ではそんな地域の特産品であるなすの品種を分かりやすく説明いたしております。

なすのブランド、又は伝統的な品種 東北編

秋田県のなす

関口なす

秋田県で栽培されるなすで秋田の伝統野菜30品目に名を連ねるなすです。湯沢市関口地区で古くから栽培され江戸時代の文献にも記載されているほど歴史のあるなすです。へたの境目がくっきり白くなっているのが特徴で直径4~5cm程の卵形。皮が薄く実がしまっています。甘味と食感の良さから古くから漬物として愛されてきました。

新処なす(あらどころなす)

秋田県横手市十文字地域の新処地区で栽培されている新処なすは「秋田の伝統野菜」の一つです。巾着型をしており水分が少なく実がしまっています。皮が薄く種が目立たないので漬物に向いており、秋田県南部の伝統的な漬物「ナスの花寿司」には最適です。

岩手県のなす

くろべえ

長卵形の中長茄子。岩手県南部に位置する最南端に位置する一関市は東北有数の夏秋なす産地であり古くからこのくろべえという茄子を栽培しています。くろべえ自体は福島県や北関東でも栽培されている品種ではあります。

山形県のなす

民田なす

山形県鶴岡市民田に由来する300年以上前の江戸時代から続く伝統品種。江戸時代に民田地域の八幡神社の社殿を作る際に京都の宮大工が持ち込んだのが始まりとされている。「やまがた伝統野菜」にも選定されています。早生系の丸小茄子で果実は15~20gと小さく、辛子漬けや味噌漬けなどに使われる。

民田茄子はその伝統を守るべく畑の周辺には他のなすを一切植えないことを心がけ種の保存に徹している他、種を確保するため形のいい実を種子用に厳選して育て手間をかけて自家採取しているほどのこだわりがあります。

松尾芭蕉が「奥の細道」の途中に詠んだ「めずらしや山をいで羽の初茄子」の句は民田なすのことだそうです。

蔵王サファイア

山形県山形市の農産地である大郷地区のみでハウス栽培されていおり、商標登録されている特産品の「蔵王サファイア」。使用されているのは真仙中長という品種でこれを若いうちに収穫している為、実は小ぶりで皮はとても柔らかく漬物にむいています。蔵王サファイアを栽培しているのは現在11人しかおらず、全員がなすを専門に作っているなすのプロである。

窪田なす

山形県米沢市の北東部に位置する、窪田地域に由来するなすです。米沢市の継承作物として認証されているが現在栽培者は数軒となってしまっている。実は小さく巾着型をしており皮は硬め、歯触りが良く主に漬物として利用されています。

初代藩主の上杉景勝公が会津から米沢入りした際に伝えられたとされ、家臣である直江兼続が窪田町の家中の武士に栽培させたのが始まりと言われています。その後上杉鷹山公に奨励作物と指定され広まりまった歴史があります。

出羽小茄子

山形県農業試験場にて山形県に伝わるなすの「民田茄子」、「窪田なす」の二つを交配し収穫性を高めた小なすである。1961年に命名されました。

梵天丸茄子

昭和60年代に窪田なすと仙台長茄子を交配させた品種。病気に強く薄皮で歯切れの良い小茄子です。

山形市では7月4日のナスの日に梵天丸茄子祭りが行われている。

遊佐のお嬢さん

山形県庄内地方遊佐町ではフランス系品種で真っ白い色をした「遊佐のお嬢さん」という茄子を栽培しています。平成10年に誕生した真っ白なナスは普通のなすよりも硬めで実は締まっているのが特徴。甘味があり油との相性が良くグラタンやミートソースなどをのせて焼いた焼き茄子などに向きます。栽培に非常に手間がかかるため生産量を増やせないため希少な品種と言えます。歴史は浅いですが地元では夏の味覚として愛されています。

宮城県のなす

仙台長茄子

燕口に例えられる先のとがったスリムな形と、皮が薄く果肉がしまり、ほのかな苦味のある独特の風味が特徴。伊達藩の時代から作られ、400年の歴史を持つ。伊達政宗が朝鮮の役(1593年)の折に藩士の一人が博多から持ち帰ったとされている物。紫紺長茄子とも呼ばれる。皮が薄く漬物に向くため地元の伝統的郷土料理である「仙台長なす漬け」にも利用されている。漬物に利用する際には8~10cm程度の細長いうちに早めに収穫されたものを用います。

福島県の茄子

会津丸茄子

昭和初期から会津若松市の神指及び荒井舘の内地で栽培が定着したやや巾着型の丸なすです。会津の伝統野菜の一つにも認定されており表面は濃い黒紫で黒光りしています。果皮はかたく果肉が詰まっています。油との相性が良く炒め物や煮物、揚げ物などに向いています。地元では南蛮煮などにされます。

なすのブランド、又は伝統的な品種 関東編

栃木県のなす

那須の美なす(ビーナス)

栃木県那須塩原市や那須町、大田原氏などを中心に栽培されているなすの品種。中長系で色つやが良い。那須のご当地食材を使ったランチプレート「なすべん」にも使われている。

茨城県のなす

奥久慈なす

県北で栽培されている千両茄子系のなす。艶のある皮がきれいなフォルムが特徴で市場では「黒いダイヤ」と評されるほどです。常陸大宮市、大子町、常陸太田市、那珂市、ひたちなか市を産地としています。

東京都のなす

寺島なす(蔓細千成なす)

通常のなすよりも小ぶりな卵型で皮が硬く、しっかりとした肉質が特徴の茄子です。味わいは普通のなすよりも濃厚で火を通すと甘みが増します。油との相性がいい為揚げたり炒めたりするのに向きます。寺島なすは江戸野菜の一つとしても選ばれています。

その歴史は古く徳川家綱の時代(1650年代)の徳川幕府は武士に対する食材確保のため、かつて隅田(現在の墨田)という地名だった木母寺の周辺に御膳栽畑(幕府直轄の野菜畑)を作りました。その頃栽培されていた茄子が寺島村に伝播し寺島なすになったと言われています。元禄郷帳(1688~1794年)によればによれば白鬚神社の周辺に寺島村はありこの地域一帯は水田を主とする近郊農村であったが、隅田川上流から運ばれてきた肥沃な土はなす作りにも適しなすの産地であった。享保20年(1735年)の「続江戸砂子温故名跡志」には、「寺島茄子 西葛西の内地。中の郷の先、江戸より一里余」とあり、「夏秋の中の嘉蔬とす。」として、江戸近郊の名産であることが記されています。また文政11年(1828年)に発行された「新編武蔵風土記稿」にも「形は小なれどもわせなすと呼び賞味す」と記され、地域の特産品として千住や神田へ出荷されていましたが関東大震災により地形が変わり向島の畑の消失や、その後の宅地化などによる畑の減少で一度は生産が途絶えてしまいましたが2009年に復活を果たしたなすです。

江戸野菜・・・主に現在の東京周辺で生産されていた在来品種の野菜を指し、現在42種類が登録されている。

神奈川県のなす

サラダ紫

大坂の水なすなど複数品種をかけ合わせ育成され、横須賀市で栽培されているなすです。葉が濃い紫色で巾着型をしています。果実を絞ると果汁が滴るほど多汁なためずっしりとした重量を感じられます。また一般品種に比べ糖含量が多くジューシーで、アクが少ない為果実を切った後も変色しにくいのも特徴で、そのままサラダとして食べるとサクサクとした食感でおいしくいただけます。塩漬けなどにすると柔らかな別の食感を楽しめます。神奈川県が認定する「かながわブランド」にも登録されています。

埼玉県のなす

埼玉青大丸なす、埼玉青なす

埼玉県の伝統野菜で明治時代に中国から埼玉県に導入され栽培されてきた巾着型のなすです。果実とヘタの色が緑色をしており大きめ、果肉は濃密でしっかりとした食感があります。明治時代には奈良漬けとして食されてきましたが煮物や焼きナスなどの他、油を使った洋風料理にも向きます。また青茄子を使ったジャムなどの加工品も販売されています。かつては白なすと呼ばれた名残りから埼玉県深谷市では現在も白なすと呼ばれています。